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アシアナ航空の謝罪会見が遅かった背景に「3つの要素」

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1504/21/news024.html
[窪田順生,ITmedia]スピン経済の歩き方:» 2015年04月21日 08時00分 更新

アシアナ航空162便が広島空港で着陸を失敗して、乗員乗客27名が負傷するという事故が起きた。アシアナ航空側の「広報対応」があまりにも遅いが、筆者の窪田氏は「その背景には3つの要素がある」という。それは……。
 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
 「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
 そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。

窪田順生氏のプロフィール:
 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。

4月14日午後8時5分ごろ、アシアナ航空162便が広島空港で着陸を失敗して、乗員乗客27名が負傷するという事故が起きた。
 搭乗していた乗客によると、韓国の仁川(インチョン)空港を出たエアバスが広島空港に着陸する5分ほど前に機体が大きく揺れ、着陸した途端にバーンという大きな音がしたという。窓の外には火柱がたち、床から煙が出て機内は大パニックになり、「死」を意識した乗客も多かったとか。

 事故原因については、これから運輸安全委員会の調査で明らかになっていくのでこちらからとやかく言うことではないのだが、ひとつ不可解なことがある。

 アシアナ航空側の「広報対応」があまりにも遅いのだ。

 事故翌日の15日、「搭乗客ならびに国民の皆様にご心配とご迷惑をおかけしたことについて、謝罪申しあげます」とするコメントを出しただけで、しかるべき立場の者が取材対応をするということはなかった。そこからさらに日付をまたいだ16日、ようやく広島空港で山村明好・安全担当副社長が謝罪会見を行ったのである。

 ご存じのように、アシアナ航空は2013年にボーイング777型機がサンフランシスコ空港で着陸に失敗し乗客3名が亡くなっている。原因をめぐっては米国家運輸安全委員会(NTSB)と一悶着あったが、「パイロットの操縦ミス」という結論が出ている。2年も待たずに再び起きた事故ということに加えて、これだけ大きな被害ということも加味すれば、イメージをこれ以上悪化させないようスピーディーな謝罪やらをしそうなものだ。

 しかも、頭を下げた山村副社長は2013年の事故を受けて安全体制の見直しのため一昨年12月に呼ばれた全日空出身の元パイロット。事故対応のキモも知り尽くしたプロがいながらも「後手」にまわっている印象があるのだ。

 2013年の事故の時は迅速だった。発生からほどなくソウル本社で当時の尹永斗社長(ユン・ヨンド)が会見にあらわれ頭を下げた。それだけではない。翌日には現地でアシアナのCAさんたちがメディアの前に現れて記者の囲み取材に応じている。彼女たちはいつ爆発をしてもおかしくない機体からパニックに陥った乗客を落ち着かせて、どのように避難誘導したのかを雄弁に語った。

 なかでも客室乗務員責任者のイ・ユンヘさんは、自身も衝撃でお尻の骨を折っていたが、その痛みに気づかぬほど乗客の救助に没頭としていたとして、サンフランシスコの消防当局幹部から「彼女は英雄だ」と褒めたたえられた、と韓国のメディアで報じられている。
「なにか後ろめたい」ことがある時

 この時の積極的な情報発信を踏まえると、今回の2日間の沈黙という対応はあまりにも違和感を覚える。お亡くなりになっている方がいるいないという違いはあるが、着陸ミスで機体が破損し、乗客が緊急脱出という流れで言えば丸かぶりのシチュエーションだからだ。

 実際にどういう力学が働いたのかは分からないが、一般的にはこういう深刻な事故が起きた際に広報がズルズル遅れるというのはいくつかの「要素」を抱えていると言われる。ひとつ目は「なにか後ろめたい」ことがある時だ。記者に突かれると痛いところがあるので、十分に対応を協議しないとえらいことになるからだ。

 こう考えて今回の事故を見ると、そうと思える要素もある。事故発生直後から航空評論家が「ダックダウン」なんて業界用語を用いて、パイロットの操縦ミスの可能性を指摘したのはご存じのとおりだ。また、サンフランシスコでは英雄的な活躍をみせたアシアナのCAさんが煙で充満する機内で、ドアが開かずにパニくっていたなんて証言をする乗客もいた。さらに極めつけは、このような報道もなされていることだ。

シューターは、乗客を速やかに避難させるため、多少のけがはやむを得ないとされる。女性も「命を優先させようと必死だった」と振り返るが、韓国人乗務員がパニックになり、乗客の大半が自分の判断で滑り降りていたと指摘した。(日本経済新聞 大阪 4月18日)

 機内ビデオで見るように、緊急脱出シューターには下りた先に補助者がつく。勢い良く滑り落ちてくるので危険なためだ。もしこの女性の証言が事実なら、避難誘導が果たして適切だったのかという問題が出てくる。こういうクリティカルなリスク情報を収集して精査をしているうちに、ズルズルと会見が後ろに倒れてしまったというのは大規模事故などでは珍しくない。

 また、広報対応を遅らせる要素としては「責任問題」ということもある。これまた一般的な話だが、事故の原因、責任などがかなりビミョーな場合はすぐさま謝ったりなんだりということは後で賠償などのペナルティで自分の首を絞めることになるので、しばらく「静観」という選択をすることがあるのだ。

シューターは、乗客を速やかに避難させるため、多少のけがはやむを得ないとされる。女性も「命を優先させようと必死だった」と振り返るが、韓国人乗務員がパニックになり、乗客の大半が自分の判断で滑り降りていたと指摘した。(日本経済新聞 大阪 4月18日)

 機内ビデオで見るように、緊急脱出シューターには下りた先に補助者がつく。勢い良く滑り落ちてくるので危険なためだ。もしこの女性の証言が事実なら、避難誘導が果たして適切だったのかという問題が出てくる。こういうクリティカルなリスク情報を収集して精査をしているうちに、ズルズルと会見が後ろに倒れてしまったというのは大規模事故などでは珍しくない。
 
 また、広報対応を遅らせる要素としては「責任問題」ということもある。これまた一般的な話だが、事故の原因、責任などがかなりビミョーな場合はすぐさま謝ったりなんだりということは後で賠償などのペナルティで自分の首を絞めることになるので、しばらく「静観」という選択をすることがあるのだ。
http://image.itmedia.co.jp/l/im/makoto/articles/1504/21/l_yd_kubota1.jpg

アシアナ航空の「戦略」

 実は山村さんがメディアに囲まれて頭を下げていた数時間後、ソウル本社から金秀天(キム・スチョン)社長が到着し、広島空港事務所に謝罪を行っている。なぜちょっと待って、会見で社長に頭を下げさせないのか。愛国心溢れる方たちは、「あの国が日本人に頭を下げるわけがない」などとお怒りになっているが、これはそういうナショナリズム的なことではなく、アシアナ航空の「戦略」と受けとったほうがいい。
 2年前もそうだった。ソウル本社では迅速に謝罪会見を開いた尹社長だったが、それは韓国国内の世論へ向けて頭を垂れたに過ぎない。米国に向けて発ったのは3日後で、しかも到着してからは特に会見もせず、被害者と面会をしたりNTSBへ寄ったりしてトンボ帰りで帰国をした。この態度に米国のメディアは、「韓国企業は危機管理が分かってない」とか「企業イメージ戦略の意識が遅れている」とかなんとか批判をしたが、実はそうではない。
事故発生直後からNTSBは、韓国政府の航空事故調査委員会への報告なしに「パイロットのミス」を示唆するような会見や情報の公表をたびたび行った。一方、アシアナ航空側はボーイング777が悪いというストーリーを主張して、「操縦士が悪いという印象操作をしている」といった批判を展開していた。そんな事故責任の押しつけ合いをしている最中、社長が頭を下げられるわけがない。
 今回の事故も広島空港の靄(もや)がすごいだとか、ミヤネ屋の宮根誠司さんが指摘しているように「管制塔の指示が悪かった」的なさまざまな原因が語られている。パイロットの操縦ミスではないという一縷(いちる)の望みがある限り、親分に頭を下げさせませんよというわけだ。山村さんは副社長とはいえ元全日空で社歴は浅い。金社長が頭を下げるのとはまったく意味合が変わってくるのは言うまでもない。

最後の要素は「オトナの事情」
 そして広報を遅らせる最後の要素が「オトナの事情」である。頭を下げることで、他の事業などに大きなダメージを与えたり、企業価値を毀損する可能性がある。世の中からボコボコに叩かれるよりも、頭を下げないメリットがあるというわけだ。
 実はサクッと来日して、県副知事に謝罪をして帰国をした金社長は、昨年末までアシアナと釜山商工会議所と共同で投資したLCC「エアプサン」の代表を務めていた。この社長人事からも分かるように、アシアナはLCCに力を入れている。エアプサンを釜山地域に拠点を置く地域航空会社とする一方で、新設LCCも予定しているという。
 こういうLCC路線強化を進める繊細な時期に、操縦ミスだとか客室乗務員がパニくったという情報が流れる。それだけでも深刻なダメージなのに、もしも会見で金社長が日本の記者にフルボッコにされたら取り返しがつかない。
 また、それは今後の「企業戦略」にも暗い陰を落とす。実はアシアナ航空が属するのは、韓国と日本を結ぶ海底トンネルの建設というダイナミックな観光活性化を主張していることで知られる朴三求(パク・サムグ)会長が率いる錦湖(クムホ)アシアナグループ。このグループの中核企業である錦湖産業の買収をめぐって、かなり騒々しくなっている、と昨年12月に韓国メディアが報じているのだ
実はグループは2006年に大宇建設、08年に大韓通運を相次いで買収し、飛ぶ鳥を落とす勢いで規模を拡大していたのだが、リーマンショックでつまずいて09年から構造調整に入っており、アシアナ航空の株を持つ錦湖産業などは債権団と自律協約を結んでいた。
 もちろん、債権団から買い戻す優先権を持っているのは朴会長だが、2013年の韓国小売り大手の新世界やプライベート・エクイティ・ファンド(企業の株式に投資し、その後の売却を通じて利益を得る投資ファンドのこと)などが次々と買い手として名乗りを上げている。錦湖産業はアシアナ航空株を約30%保有する筆頭株主なので、ここを手中に収めるということは、アシアナとエアプサンの2つの航空会社が付いてくるというわけだ。
非公式な「情報戦」に走る
 こういうかなりビミョーな買収話が進んでいる時、日本の空港でアシアナ航空が大ポカをする。錦湖産業の価値にも大きく影響を及ぼすのは目に見えている。アシアナとエアプサンの「顔」である金社長がおいそれと頭を下げれるわけがない。かといって今回はサンフランシスコの時のようにCAさんをつかって正当性をアピールするの難しい。オフィシャルな情報発信ができないとなると、残るは非公式な「情報戦」になる。
 先ほどの「シューター不祥事」が日経新聞で報じられた翌日、フジテレビの『Mr.サンデー』で、アシアナ航空の客室乗務員が、「クルマに気をつけてこっちへ来てください」と叫びながら乗客を誘導していた映像が流れたという。さらに、ケガのあるなしに関わらず、被害者に一律60万円の賠償が払われるという情報も出た。
 サンフランシスコの時のような「操縦士が悪いという印象操作をしている」という韓国メディアからの援護射撃もすでに飛んできている。
 過去の教訓に学べば、空港側の責任を追及してくるという可能性は否めない。アシアナ航空の次の一手に注目したい。
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