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NPT再検討会議が決裂 核軍縮文書採択できず

http://www.asahi.com/articles/ASH5P1C4GH5NUHBI036.html
朝日新聞2015年5月23日23時39分
 ニューヨークの国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議は22日、約1カ月にわたる議論の成果をまとめた最終文書を採択できないまま閉幕した。中東を「非核地帯」とする構想をめぐる加盟国の対立が解消せず、全会一致での文書採択に失敗した。会議の決裂は、停滞気味の核軍縮に悪影響を及ぼすおそれがある。会議は先月27日に始まり、約190の加盟国が世界の核軍縮と核不拡散、原子力の平和利用について協議し、NPT体制を強めるための最終文書の採択を目指してきた。だが、22日の最終会合で、フェルキ議長は「努力を尽くしたが、会議は最終文書を採択できなかった」と述べた。
 5年に1度開かれるNPT会議が、最終文書の採択に失敗するのは前々回の2005年以来。
 フェルキ議長がまとめた最終文書案には、中東非核地帯構想についての国際会議を来年3月1日までに開くことを国連事務総長に委ねることが盛り込まれ、「全中東諸国が招待される」と明記された。中東では、事実上の核保有国とされるイスラエルがNPTに加盟しておらず、そのことを問題視するアラブ諸国は非核地帯構想の実現を長年訴えてきた。
 だが、22日の会合では、米オバマ政権で核軍縮・不拡散政策を担うゴットメラー国務次官が、この記述を理由に最終文書案に「同意できない」と明言。英国やカナダも同調した。中東非核化に向けた会議が開かれれば、アラブ諸国がイスラエルを非難するのは必至で、米国は、事実上の同盟国であるイスラエルに配慮したとみられる。
 世界の核兵器の約9割を持つ米国とロシアがウクライナ情勢などで対立し、中国も核戦力を増強するなど、核軍縮の機運は低下している。
 一方で、核の非人道性や核兵器禁止を訴える国際潮流が拡大しており、今回の最終文書案にもそうした動きを反映する文言が残った。また、日本が世界の政治指導者らに被爆地・広島、長崎の訪問を求めたことを受け「核兵器の被害を受けた人々の経験の直接共有」といった文言も盛られた。だが、会議の決裂で、これらの「成果」は国際合意にはならなかった。
 日本の杉山晋輔・外務審議官は演説で、「私たちは最終文書の全会一致での採択に向けあらゆる努力をしてきた。採択できなかったことは大変残念だ」と述べた。(ニューヨーク=金成隆一、松尾一郎)
     ◇
 〈NPT再検討会議〉 5年に1度、核不拡散条約(NPT)の運用状況を検討するために開かれ、NPTの実効性を高めるための最終文書の全会一致の採択を目的とする。2000年は核廃絶への「明確な約束」など核軍縮に関する13方策を盛り込んだ文書が、10年は核廃絶への64の行動計画などを盛り込んだ文書が採択された。
 NPTの締約国・地域は191。ただし、イスラエル、インド、パキスタンといった核を持つ国々が加入しておらず、北朝鮮は脱退を表明している。

NPT、最終文書採択できず閉幕 中東の非核化で溝
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM23H1B_T20C15A5MM0000/
2015/5/23 10:45日本経済新聞
【ニューヨーク=高橋里奈】国連本部で約1カ月にわたって開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は22日、最終文書を採択できないまま閉幕した。事実上の核保有国であるイスラエルを念頭に置いた中東の非核地帯化を巡る米英と中東諸国の協議が難航、文書のとりまとめに失敗した。NPT体制は形骸化の瀬戸際にあり、オバマ米大統領が提唱した「核なき世界」への機運は後退した。

 最終文書案の採択は全会一致が原則だ。5年に1度開かれるNPT会議で最終文書の採択に失敗するのは、米国とイランが対立した2005年以来、10年ぶり。原爆投下から70年の節目の年に、国際社会が団結し目に見える「成果」を残すことはできなかった。
 会議では最終局面まで中東の非核地帯化を巡る議論が紛糾した。事実上の核保有国であるイスラエルに配慮する米英などに対し、エジプトやイランなどが強い不満を表明した。
 イスラエルはNPTに未加盟だが、周辺の中東諸国は非核化を促す国際会議の早期開催を求めている。前回の10年に合意した最終文書では12年に国際会議を開くことになっていたが、イスラエルの抵抗で開かれていない。
 最終文書案に「16年3月1日までに、すべての中東諸国を招く国際会議を開くよう国連事務総長に委任する」という文言が盛り込まれたことについて、米英カナダは「会議開催の期限を区切るべきではない」「非現実的で不可能」などと強く反発した。
また、オーストリアやメキシコなどは「核兵器の非人道性」を強調して「核兵器禁止条約」の交渉開始に具体的な道筋をつけるよう求めてきたが、最終文書案では同条約については言及されずじまい。核弾頭の保有数の報告や核廃絶に向けた期間設定など、具体的に核保有国に核軍縮の行動を義務付ける表現もなかった。加盟国代表からは合意に至らず「とても残念で遺憾だ」との声が相次いだ。
 核軍縮・不拡散で合意できなかったことでNPT体制が骨抜きになり、ウクライナや中東などで地政学的リスクが高まる恐れがある。核兵器の削減に具体的な行動を義務付けられなかったことは、ロシアや中国がさらなる軍拡を加速させるリスクもはらむ。
 一方、日本が提案した「世界の指導者に広島・長崎への訪問を促す」とする最終文書の素案に入っていた文言が、中国の要請で削られた。日本は記述復活を求め中国との協議を継続。結局、「核兵器の被害を受けた人や地域社会の経験を直接共有し、交流することを通して核軍縮・不拡散の教育を強化、継続する」との文言を盛り込むことで折り合った。
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