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「派遣法改正案」のいったい何が問題なのか 不安定・低賃金なハケンが今より増える恐れ

http://toyokeizai.net/articles/-/73553
2015年06月17日戸舘 圭之 :弁護士  東洋経済オンライン
労働者派遣法の改正案をめぐる国会の議論が紛糾している。先週開かれた衆議院の厚生労働委員会は、改正案に反対する民主党と共産党が欠席。採決は先送りされたものの、早ければ今週末の6月19日までに与党の「強行」で、衆院通過となる可能性が指摘されている。
今回の改正案の目玉は、派遣期間の制限見直し。現行はソフトウエア開発や秘書、財務処理、書籍等の制作・編集などの「専門26業務」の派遣労働者を除いて最長3年と定められてきたものの、この期間上限が事実上撤廃。一方、これまで期間の制限がなかった専門26業務は、最長3年と定められる。これまでの違法派遣(恒常的派遣)が合法化されることになり、2012年の派遣法改正で導入され、今年10月に施行される予定となっている違法派遣の場合に派遣先への直接雇用を義務づける「直接雇用申し込みみなし制度」が、ほとんど機能しなくなる事態が招来する。

「派遣労働者の一層の雇用の安定、保護等を図るため、全ての労働者派遣事業を許可制とするとともに、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進し、派遣先の事業所等ごとの派遣期間制限を設ける等の措置を講ずるため」。これが今回の改正案を進める政府側の狙いだ。

企業がその気になれば…

一方、改正案については、野党や労働組合、弁護士会をはじめとする法律家団体などの多数が反対の声を上げている。その中身を具体的に検討すると、当事者である派遣労働者にとっては特段のメリットはないどころか、不利益を強いられかねない。というのも、企業がその気になれば、3年ごとに人さえ入れ替えて派遣労働者を無期限に使い続けられる、つまり、派遣を事実上の常用雇用にできる制度設計になっており、派遣労働者が生涯その地位に留めおかれることにつながるからだ。
専門26業務についても、最長3年で雇用契約を打ち切られる「雇い止め」が常態化して、転職を繰り返さなければならなくなる。一部報道によれば、改正派遣法がまだ成立していないにもかかわらず、すでに専門26業務の派遣労働者で雇い止めを通告されたり、改正案が成立した時点から3年先の雇い止めを告げられたりする事例も出ているようだ。
派遣で働く労働者の中には、「できれば正社員で安定して働きたい」という希望を持っていながら、やむをえず派遣という働き方を選んでいる人も少なくない。にもかかわらず、派遣労働の適用場面を著しく拡大し、構造的に不安定かつ低賃金な派遣労働者が増えるというシナリオが現実味を帯びてくる。

大前提として、確認しておきたい。なぜ、派遣労働は法律によって規制されなければならないのか。まずは専門的になるが、法律の規定を引用しよう。労働者派遣とは「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする」(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律2条1号)
もう少し簡単に説明すると、派遣労働とは派遣元と労働契約を結びながら、実際の勤務は派遣先で行うという間接的な雇用形態であり、派遣先とは雇用関係がない。
必然的に不安定で低賃金を強いられやすい

この働かせ方は構造上、必然的に雇用が不安定となり、低賃金を強いられやすい。派遣先にとっては、雇用責任を回避できたり、あいまいにしたりできるというメリットがある。労働者にとっては、派遣元との間で労働契約を結びながら、実際には派遣先で働くという形式から、何らかの問題が生じた場合に責任追及が困難になるなどの不利益が生じる。
今では、日常用語としても定着している派遣労働は、1985年に労働者派遣法が制定されるまでは、「職業安定法」によって厳格に禁止されていた。歴史的に見ても派遣労働のような間接的な雇用形態は、中間搾取(ピンはね)が横行し、労働者を酷使し使い捨てにされてきた苦い経験があるからだ。
労働者派遣はそもそも法律で禁止されている働かせ方であり、労働者派遣法が制定されたことにより例外的に認められているにすぎず、この基本的な構造は数々の改正を経た今でも全く変わっていない、という基本的な視点は見過ごされがちである。
労働者派遣法が制定された時も労働組合等による大規模な反対運動が展開された。そのため、労働者派遣法は成立したものの、労働者に不利益が生じないように専門的で常用代替が生じるおそれのない職種に限定されていた。
ところが、その後の規制緩和の流れの中で、もともと限定的にしか認められなかった派遣労働がどんどん拡大されていった。1999年には対象業務が原則自由化され、2003年には製造業務への派遣が解禁されるなど派遣労働の対象は無限定に広がり、派遣労働者は2008年には202万人にも達した。現在では、いたるところで派遣労働者が働いており、違和感なく広まっている。
派遣労働者の賃金は正社員に比べて相対的に低い場合がほとんど。正社員と同じように働いていても、である。派遣労働をはじめとする不安定かつ低賃金な非正規雇用が政策的に拡大されたことが、格差社会、ワーキングプアなどの貧困問題の一因になっている。
ここからはやや専門的になるものの、今回の派遣法改正案をもう少し詳しく検証してみよう。
専門26業務とその他の業務の区別を撤廃
まず、専門26業務とその他の業務という区別を撤廃し、一律に①事業所単位の期間制限(派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受入れは3年を上限とする。それを超えて受け入れるためには過半数労働組合等からの意見聴取が必要。意見があった場合には対応方針等の説明義務を課す)と②個人単位の期間制限(派遣先の同一の組織単位(課)における同一の派遣労働者の受入れは3年を上限とする)を設けている。
本来、派遣労働の期間制限は、派遣労働があくまで一時的・臨時的なものであり、正社員の代わりに派遣労働者を使うことを許さない(「常用代替防止」)という観点から設けられたものであった。しかし、今回の改正案では、これら①事業所単位の期間制限②個人単位の期間制限とうたわれていながら、実際には、これらの期間制限は厳格とはいえず、企業がその気になれば派遣労働者を使い続けられる。
法案では、「派遣労働者の雇用安定措置」として
① 派遣先への直接雇用の依頼
② 新たな派遣先の提供
③ 派遣元での無期雇用
④ その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置
を派遣元に義務づけるとしている。
しかし、これらの「雇用安定措置」は、まったく派遣労働者の雇用安定にはつながらないことが指摘されている。たとえば、①の「派遣先への直接雇用の依頼」 については、文字通り、「依頼」することが義務づけられているだけなので、派遣先がその「依頼」を断ることも全く自由だからである。
また、現在の派遣法では専門26業務の派遣労働者が、3年を超えて同じ派遣先で同じ仕事をしている場合、その派遣先が新たに労働者を直接雇用しようとするときは、その派遣労働者に雇用契約の申込みをしなければならないという「雇用申し込み義務制度」(派遣法40条の5)が存在し、これにより専門26業務で働いている派遣労働者が直接雇用される可能性が不十分ながらあったが、今回の改正案では削除されてしまっている。
労働者は、生身の人間であり、働いて賃金を得て生活を成り立たせている。機械の部品などの「モノ」ではない。一方、派遣労働は、労働者を機械や道具などの「モノ」と同じように取り扱う危険を本来的に内包している雇用形態である。その抑制を緩める今回の派遣法改正案が成立すると、本来は臨時的、一時的な雇用形態である派遣労働が原則化し、派遣労働者が正社員雇用を望んだとしても、ずっと派遣労働者の地位に甘んじることを余儀なくされてしまいかねない。
派遣労働をはじめとする非正規雇用をさらに拡大させ、貧困と格差を広げていくのか。今後の日本社会の労働のあり方が今まさに問われている。 とう


「生活が…」泣き崩れる傍聴者 派遣法改正案 衆院通過へ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061902000244.html
2015年6月19日 夕刊 東京新聞
 働く人を交代させれば企業が派遣労働者を使い続けられる労働者派遣法改正案は十九日午前、衆院厚生労働委員会で採決され、自民、公明両党の賛成多数で可決された。民主、維新、共産の三党は反対した。与党は同日午後の衆院本会議に緊急上程して衆院通過させ、参院に送る方針。政府・与党は今国会中に成立させ、九月一日施行を目指す。


 厚労委では自民、公明、維新三党が提出した「同一労働同一賃金推進法案」の修正案も三党の賛成多数で可決された。共産党は反対し、民主党は採決に応じず退席した。


 厚労委で、安倍晋三首相は派遣法改正案について「時代は多様な働き方を求めている。正社員化への支援を行い、派遣を選ぶ人には待遇の改善を進める」と理解を求めた。


 改正案は、現在派遣期間が最長三年の製造業や一般事務などの派遣労働者について、受け入れ企業が労働組合などから意見を聞き、働く人を代えれば、派遣労働者を同じ職場で働かせ続けられる。派遣期間の制限を事実上撤廃する。契約更新すれば無期限で雇える通訳や秘書などの「専門二十六業務」は、その区分をなくす。


 三年を迎えた労働者の雇用を守るため、派遣会社には、受け入れ企業に直接雇用を求める▽派遣会社で無期雇用する▽新しい派遣先を紹介する▽これら以外で雇用安定の対策を取る-のいずれかの実施を義務付けた。受け入れ企業にも正社員募集などの情報提供を義務付けた。


 同一労働同一賃金推進法案修正案は、同じ仕事なら受け入れ企業の正社員と派遣労働者らの待遇の格差是正を目的とする法案。だが、両者の待遇格差を残す余地がある文言が盛り込まれたため、同じ処遇が実現するかは不透明だ。


 当初案は維新のほか民主、生活の三党が共同提出したが、維新が労働者派遣法改正案の採決に加わることを条件に、修正案を自民、公明と提案することで合意した。


 当初案は均等待遇実現を図るとしたが、修正案は均等待遇にこだわらない内容に後退した。

◆専門職に「3年後辞めて」
 十九日の衆院厚生労働委員会を傍聴した都内の派遣社員の女性(56)は「三年後には辞めてもらうと言われている。一人一人の生活がかかっていることを、賛成した議員はどう考えているのか」と話し、泣き崩れた。
 この女性は専門業務で十五年同じ職場で働いているが、改正案では、現在は派遣期間制限がない専門業務の人も、同じ職場で最長三年しか働けなくなる。
 傍聴席には法案に反対の派遣労働者や弁護士、労働組合関係者らが詰め掛け、民主、共産両党の反対討論の後、改正案が賛成多数で可決されると「派遣労働者のためになる法案ではない」と口々に話した。
 「雇用が途切れないよう派遣先企業や他の企業で働けるようにする」。安倍晋三首相は、改正案に盛り込んだ派遣労働者の雇用安定措置の意義を繰り返し強調したが、野党からは「実効性がない」などと批判の声が上がった。
 委員会室は時折、与野党議員の大声のやじに包まれた。


派遣法改正案 派遣社員ら「雇用が一層不安定に」
6月19日 17時53分NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150619/k10010120681000.html
労働者派遣法の改正案が衆議院を通過したことを受け、改正に反対している弁護士や派遣社員が記者会見し、「雇用を一層不安定にする法案で派遣労働者の声を無視して採決されたことは極めて遺憾だ」と訴えました。

日本労働弁護団の弁護士と派遣社員や元派遣の男女9人は、国会での審議と採決を傍聴したあと、厚生労働省で記者会見を開きました。
この中で元派遣社員の40代の女性は「派遣労働者は派遣される企業に合わせて特殊な技能を磨いていくものでスキルアップで正社員になれるというのはまやかしで詭弁(きべん)だ。国会での審議は政局の争いでしかなく、派遣労働者がどこにいるのかと感じた」と話していました。
また、専門業務の派遣として働いているという50代の女性は、「正社員を目指して就職活動したこともあったが、派遣はキャリアとして認められなかった。専門業務についても派遣期間が3年に制限されれば失業するのではないかと不安を感じている」と話していました。
日本労働弁護団の棗一郎弁護士は「人を替えればあらゆる業務で派遣が使えるようになり、会社は正社員がいらなくなる。専門業務で働く派遣労働者は雇用を失う不安が大きく、何回も警鐘を鳴らしたのに無視して採決されたことは極めて遺憾だ」と訴えました。

派遣法改正案:専門26業務廃止…じわり雇い止めの不安
毎日新聞 2015年06月20日 00時03分(最終更新 06月20日 00時39分)
http://mainichi.jp/select/news/20150620k0000m040198000c.html
細切れでしか働けない派遣労働に、希望を見いだせるのか。労働者派遣法改正案が衆院を通過した。派遣労働者が同じ職場で働ける期間の上限が、職種によらず一律3年となる一方、企業は人を代えれば派遣労働者を使い続けることができるようになる。正社員になる道も閉ざされかねないとして、派遣労働者は不安に揺れている。【東海林智】
「今の仕事を失ったら、次の職は見つかるかしら」。東京都に住む派遣労働の女性(41)はため息をついた。

 コールセンターに勤務している。「専門26業務」に該当する仕事で、長く働くつもりだった。ところが、改正案が成立すれば専門26業務も他の業務と同様、3年を超えて同じ職場で働けなくなる。

 女性は大学院を出て16年。これまでに勤めた会社は15を超える。職歴を記した紙を見せてくれた。勤務した期間は、5カ月、1年、1カ月……。「派遣の不安定さをつくづく実感する」と言う。

 母子家庭に育った。「豊かになるには学歴が必要だ」と懸命に勉強し、首都圏の国立大大学院に進んだ。希望は理系の研究職だったが、修了時の1999年は「就職氷河期」だった。どうにかIT関連企業に就職したが、残業が月80時間を超える状態が続き、体調を崩した。「パニック障害」と診断され、退職した。女性にとってこの会社での2年10カ月間が、同一職場での過去最長の勤務だ。

 1年後、コールセンターに派遣で働き始めた。1日数時間という短時間の勤務が利点だったが、センター閉鎖で雇い止めに遭った。

 正社員の仕事を探したが見つからず、その後も派遣を続けた。同じ職場で同じ仕事をする派遣でも、派遣元が違うため自分の時給が300円少ないことを知りショックを受けたこともある。

 2008年には、時給が高めで気に入った職場を見つけた直後、リーマン・ショックに襲われ、契約途中で雇い止めになった。「正社員にする」と約束したはずの会社から契約を打ち切られたこともある。受注を見込んでいた業務に女性を充てる予定だったが、その業務を受注できなかったらしい。

 現在勤務しているコールセンターには、7〜8年働く派遣労働者もいる。雇い止めの不安を仲間同士で話題にすることはないが、それぞれに悩んでいるように思える。「法改正で派遣労働者はみんな不安を抱えるようになる。社会は目を向けてほしい」

          ◇

 19日午後の衆院本会議には派遣労働者ら約100人が傍聴席に詰めかけた。可決の瞬間、傍聴席から「ふざけるな」「ひどい」との声が漏れた。

 専門26業務の一つ「研究開発」で首都圏近郊のメーカーに勤める横浜市の30代女性は、「改正案に賛成した国会議員の中に、実際に派遣で働いている人の生の声を聞いたり、実態を知っていたりする人がどれぐらいいるのか」と肩を落とした。

 女性には小学生の子どもがいる。「給与は上がらないが安定を求め今の職場を探した。それなのに3年で職場を変わらないといけなくなる。一から人間関係をつくるのも大変。キャリアアップにもつながらない。先行き不透明で、とても不安」と胸の内を明かした。

 東日本大震災からの復興途上にある被災地の派遣労働者も将来への不安を訴えた。

 専門26業務の財務処理や経理を担う福島市の女性(43)は、「改正案が成立すれば3年以内に別の職場を探さないといけなくなる」と話した。「今の福島は復興需要で景気がいいけれど、長くは続かないと思う。経済状況が厳しくなったら仕事を探すのは大変」と心配している。【樋岡徹也、岡田英】
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