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UK発ジャップ・ロック、その正体とは!――ボー・ニンゲン、ロング・インタヴューJul 09,2012 UP

注)FFSと同じ夏のイベントに出演する、イギリスで活動する日本人のこちらのアーティストも某宗教あるいはシンパのかたです。
過去のインタビューですが、世界中で一番シンパシーを感じるアーティストはももいろクローバーZだそうです

http://www.ele-king.net/interviews/002223/
Jul 09,2012 UP eleking 
以下に掲載するのは、菊地佑樹によるボーニンゲン(棒人間)を名乗るバンドにおいてベース&ヴォーカルを担当するたいげん(Taigen)氏へのインタヴューの記録である。ボーニンゲンはロンドンで結成された日本人4人によるバンドで、2010年にロンドンのレーベルからデビュー・アルバム『Bo Ningen』を発表している。ボーニンゲンの音楽は、ホークウインドを彷彿させるような迫力満点のハード・サイケデリックだが、長髪で黒づくめの日本人が激しく動き回りながら日本語で歌うその光景は耳だけではなく目を惹きつけるにも充分な妖しさを発している。謎に包まれたこのバンドがどのように生まれ、どのように活動しているのであろうか......。

 2010年1月、Bo Ningenの来日公演。僕は生まれて初めて日本のアンダーグラウンドなイヴェントに足を運び、恐怖と興奮がうずめくフロアに立ち尽くした。長髪、黒ずくめの、まさに「棒人間」と呼びうる見てくれの男たちが、大音量でギターをぐわんぐわん鳴らしている。ヴォーカルは「人生一度きり(Jinsei Ichido Kiri )!!!」とシャウトする。そのすさまじい演奏に、酒もろくに飲めない僕は、生まれてはじめて酔うという感覚を覚えたのである。

僕のなかでプロレスの入場テーマ曲っていうのはバンド音楽の原体験でもあって、入場テーマ曲で知ったバンド挙げてくだけでも、ブラック・サバス、レッド・ツェッペリン、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、メタリカ......
■では、まずはバンド結成の経緯を教えて下さい。

たいげん:たぶん2007年、5年前になるのかな? 僕は当時いろんなバンドを現地の外国人と組んでいて、イギリスにある日本系のイヴェントに出演することになったとき、たまたま対バンしたのが、こうへい君(ギター)で。彼は東雲オーケストラ(現在のDay and Buffaloの原型バンド)っていうバンドにいたんだけど、そのバンドに共通の知り合いのリカちゃんって子がいて、その子が紹介してくれて話したのが最初かな。当時は実験的な音楽っていうか、ノイズ・ミュージックとか、いわゆるエクスペリメンタル・ミュージックをまわりで聴いてる人たちがあんまりいなくて、そこでこうへい君も同じ状況だったみたいで。お互いの演奏も気に入ったし、そのイヴェント以降、単純に話したり、遊んでるうちに「じゃあ今度セッションしようか」っていう流れになって。

■そのときはすでにBo Ningenとして活動していたんですか?

たいげん:その当時はまだBo Ningenとしては活動してなかった、でもBo Ningen名義でこうへい君と曲を作ってたりはしたのかな? それでまた全然違う経緯で、ある友人に日本からギターを持って帰って来れなかった奴がいるから、貸せるギター余ってない? って相談されて。そのギターを持って帰って来れなかったのがゆうき(ギター)だったっていう(笑)。僕パソコンとかでも当時ライヴしてたんだけど、たまたまゆうきがお客さんで来ていてくれてて、そこで話しかけてくれたんだけど、こうへい君とはまた別に今度はゆうきとセッションしようってなって、っで実際にゆうきとセッションとか、話し合いをしてるうちに、これはこうへい君と会わせたら面白いことになるんじゃないかって。

■最初はそれぞれ別で活動していたんですね

たいげん:そう。で、最後がもんちゃん(ドラム)。もんちゃんは共通のSM女王様がいて......それでライヴに来てくれて、合うんじゃない? って、その後一回みんなでスタジオに入ってこれでしっくりきたから、じゃあこれで行こうっていう。

■イギリスにある日本人のコミュニティもそれぞればらばらで、かつ日本の出身地も違うんですよね?

たいげん:うん、僕が東京で、ゆうきが兵庫でしょ、こうへい君は岐阜、もんちゃんは群馬だから日本でのバックグラウンドも違うし、ロンドンでのコミュニティも違ったから、バンドを組む前からの知り合いとかではなかったんだよね。

■当時、メンバーのみなさんはアートスクールに通われてたんですよね?

たいげん:ゆうきはメディア系の学校で、こうへい君は僕が行ってたロンドン芸術大学内の違う大学でイラスト専攻。でも出会ったのは学校でというよりは、友だちの友だちって感じだったかな。メンバー募集とかもしてないし、だから本当に自然に成った感じで、そこはヘルシーというか。あとこれよく言われるんだけど、髪型と服装。各自好きなことをやってるだけなんだけど、どこか共通点はあるし、でもみんなわりかしばらばらでしょ? 単純に好きな格好してるだけで、髪もみんな長いのが好きだったのかなっていう。そういうのも含めていろいろとやっぱり自然な気がするよ。

■たいげん君は高校を出て、イギリスに行くわけですが、当時なぜイギリスを選んだんですか?

たいげん:よくこっちでUKの音楽に興味があったんですか? って訊かれるんだけど、僕は正直現行のUKの音楽、たとえばガレージとか、ブリット・ポップとかまったく興味がなくって、いわゆる興味がなかったからこそ、アメリカよりかは暗いのかなっていう。明るい曲と、暗い曲なら暗い曲のほうが好きみたいな。それくらいの認識だったのかな? もちろんキング・クリムゾンとかレッド・ツェッペリンとかUKで好きなバンドはいっぱいいるよ。とくにクリムゾンは高校のときからコピバンするほど大好きだったんだけど、こっちの音楽学校でまわりがクリムゾンのこと全然知らなくて唖然として(笑)。僕とゆうきはわりかしUKに来た動機が似てて、まず日本の大学にあんまり興味がない→留学を視野に入れる→英語圏の国→当時アメリカの情勢が良くない、それで→UKっていう(笑)。

■僕はアークティック・モンキーズなど、当時のインディ・ロックが大好きなんですが、たいげん君がイギリスのインディ・シーンに興味を持てなかった理由はなんでですか?

たいげん:なんでだろう? 個人的にインディという音楽にあまり興味がなかったのかも。マイナーという意味としても、反産業ロックという意味においても本当に姿勢や音楽的にインディだったバンドがいたのは90年代ぐらいまでなんじゃないのかな? 僕はプロレスが大好きで「インディ団体」の姿勢やプライドが好きだったから、音楽のインディ・シーンを見たときに強烈なこれじゃない感が......。
■〈ストールン・レコーディングス〉との契約の経緯はどういったものだったんですか?

たいげん:スクリーミング・ティー・パーティというバンドと仲が良くて、彼らつながりでストールンの人たちとは以前から知り合いで。最初はライヴに何回か来てくれたんだけど、まあ日本語で歌ってるし、音楽性もいまと少し違ったから契約するか迷ってたみたい(笑)。それでマネージメント的なところから手伝わせてくれない? って言われて。そのあとに回を重ねて向こうからちゃんと契約してEPとアルバム出さないか? って話がきた感じかな。だから「これもすごい自然だったね」っていうのは僕たちもよく言ってて、お互いのこと事前に知ってる状態だったからビジネスとしてだけじゃなくて気軽に何でも話せて、わりかし自由にやらせてくれる、でもしっかりと意見をくれるし真面目な事も真剣の話せる、という良い環境だと思うよ。

■たいげん君の音楽的なルーツを辿ると、プロレスの曲が原点なんですよね? そこからどのように音楽を見いだしていったんですか?

たいげん:幼少期を振り返ってみると、たまに母親が部屋でギターを練習していて、聴こえてくるフォーク・ソングがうるさいなぁくらいに思ってて(笑)、音楽そのものというよりは何かに関連/付加してる音楽が好きで、例えばゲームだったりだとか、アニメだったりだとか、いわゆるサウンドトラックだよね。それで中学からプロレスに興味が出て、ゲームやアニメの音楽からプロレスの音楽に興味が移った感じかな。プロレスの入場テーマ曲ってバンドから打ち込み、ジャンルもバラバラで色々な音楽をジャンルに縛られずに自由に横断して聴けるのは今役に立ってるかも。ちなみに僕のなかでプロレスの入場テーマ曲っていうのはバンド音楽の原体験でもあって、入場テーマ曲で知ったバンド挙げてくだけでも、ブラック・サバスでしょ、レッド・ツェッペリン、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、メタリカ、ミッシェル・ガン・エレファント、パンテラもそうか、あとELPもワールドプロレスリング(新日本プロレスの中継番組)のテーマ曲だったり(笑)。

■灰野(敬二)さんなどは海外に出てから知ったんですよね?

たいげん:うん。海外に出て、日本にいたときに知っていた日本のアンダーグラウンド・ミュージックとはまた違う、海外で評価が高い日本の音楽というのかな。灰野さんだったり、メルツバウだったり、ちなみにそのふたつはフィンランドで知ったんだよね。

■メンバーのみなさんそれぞれが違う音楽観を持つなか、当初はどんなサウンドだったのでしょうか?

たいげん:最初はもっとフリーフォームだったかな。リフは決まってるけど、回数とか、構成とかはあんまり決まってなかったし、いまよりも即興だったりだとか、ノイズとかに近い感じだったね。

■ノイズやいわゆるエクスペリメンタル・ミュージックには以前から興味はあったんですか?

たいげん:とくに初期はね。実験的なものって言ったらちょっと変だけど、冷静に自分たちの音がどう変化してきたっていうのを考え直してみると、僕以外はオリジナルの曲を演奏するバンド歴みたいなものが皆無だったのね、しかも僕もBo Ningenの前にやってたバンドはすべてベーシストとしての参加で、ヴォーカルとしてオリジナルのバンドをやるのはBo Ningenが初めてだった。こうへい君とかもちょこちょこ活動歴はあったんだけど、僕が初めて会ったとき彼はまだギター歴2年とかだったし、ゆうきもオリジナル・バンドはこれが初めてで、もんちゃんもしばらくオリジナルのバンドはやってない感じだったんだよね。だからまっさらな状態ではじめられて、だからこそ最初はもっとフリーフォームというか、自由に構成とかも決めずにとにかく音を出していたのは必然で、メンバーの技術的なこととか、経験とかいろんなことが重なってっていまの形になってってるのかなって、だから途中で方向転換しようって感じではなかったかな。とにかく全部ジャムから作ってるのもあるけど。

■僕がBo Ningenの音源を初めてmy spaceで聴いたときに、リリックにも衝撃を受けたのですが、イギリスで活動していくうえで、日本語で歌う迷いなどはなかったのですか?

たいげん:迷いはなかったかな。もちろん不安はあったよ、どういう風に受け取られるんだとうって。でもその時点で自分のなかで英語で歌うって選択肢はなかったかな。単純に自分の表現として即興で歌詞を作ったりするときって、僕は歌詞をあらかじめ紙に書いたりしないから、思ったことを脳から考えることでの変換機能を通さずに口から出したくて。そうすると、もちろん日本語じゃないときもたまにあるんだけど、でもやっぱりなんだかんだで日本語になるんだよね。頭のなかで変換してる時間がないんですよ、英語に。

自分たちの音楽を聴いてるお客さんに対して、自分たちはどういうモノに影響を受けたか、普段どういう音楽を聴いてるだとか、こういう音楽もおすすめだよっていうのは本当に発信していかなきゃいけないことだと思うの......

■以前「リリックなどのすべてのメロディを最初はサウンドとして消化する」と言っていたのを思い出したのですが、そういう自分の聴き方が、曲を書くうえで、たいげん君にどのような影響を与えているのでしょうか?

たいげん:いま冷静に考えてみると、歌詞を見ながらだと歌詞が先に入ってきて、歌詞がよいなと思って音に期待しても、実際に鳴ってる音と歌詞とのギャップを自分のなかで感じることが多かった気がする。最初に聴いた曲で、歌詞カードみなくてもひっかかる歌詞がある曲はひっかかるし、単純に聴いてピンとくるかどうかが問題な気がするしね。あとはプロレスの入場テーマ曲やゲーム/アニメのサントラってインストも多かったから(笑)。

■たとえば「人生一度きり」というあのフレーズは、英語ではなく、日本語であるからこそ響くのかなと思うのですが、実際に現地の反応はどのようなものなんでしょうか?

たいげん:これはすごく面白いんだけど、これは本当にその通りで、外人のお客さんも歌詞の意味がわかんないけど感情的なところで入って来るっていうのはやっぱりあるみたいで、ライヴで見れば僕らの動きがもちろんあるわけで、歌詞がわからないからこそ感情的に、衝動というか、うちらが出してる音もそうだし、なんかいろいろ出てるじゃない? 音以外でも。それをもっとストレートに受け止めてもらえる感じがして、しかもライヴをやって反応を見てるうちにお客さんが「こういうこと歌ってるんでしょ?」とか自分のなかで解釈してくれて、それは言語がわからないからこそで100人いたら100人違う解釈で僕は良いと思ってるし、それでCD買ったときに対訳の歌詞カードに英訳があるわけじゃん? そこで「なるほど」って曲の世界感の認識が変わるのもまた面白いと思う、だからアドヴァンテージとして今いまは捉えてるね、日本語で歌うってことは。単純に僕が英語得意じゃないっていうのもあるけど(笑)。


■Bo Ningenはある種、欧州っぽくもある反面、日本っぽくもあるというか、その逆も言えるのですが、そういうバランスみたいなものは、ロンドンで活動してるからこそ滲み出る音なのかなと正直に思うのですが、ロンドンで活動することはたいげん君にとってどのような影響を及ぼしていますか?

たいげん:活動してるからっていうのもあるし、日本で活動してる日本人より、日本の良いところ、悪いところ、例えばさっき出て来た、灰野さんだったり、メルツバウみたいな音楽をメインストリームだとか、サブカルだとか、そういうのをまったく抜きにして見れる環境があるからこその視点は絶対あるとは思ってる。その両方の視点っていうのは僕のなかですごい大事で、悪い例を言っちゃうと、日本人のバンドももちろんイギリスにちょこちょこいるわけで、だいたい音楽的に「ウッ......」っていう人は、日本の批判ばっかするわけ。日本の良いところも見えてなくて、そうなるとイギリスの良いところもちゃんと裸眼で見えてるかちょっと不安になっちゃう感じで、こっちの良さも勘違いしちゃってる人も多いのね、そういう意味では両方に良いところ、悪いところ、長所も、短所も、日本も、UKもやっぱりたくさんあるから、僕はその両方をちゃんと見据えるのが大事だと思ってて。
 あとUKのバンドと対バンして、なんかダサかっこいいというか、ダルいのがかっこいいみたいな姿勢のバンドを見る時に「あっ、これをやっちゃいけないんだ」だとか、「僕がかっこよくないと思うのはこういうところか」という風に反面教師的に影響を受けてるとも言えるかな。もちろんそれは日本のバンドに対してもあるよ、個人的にバンドで限って言えば、どちらかというと直接的に影響を受けてるのは日本のバンドのほうが多いのかな? でも日本で活動してなくて、UKのバンドからは反面教師として影響を受けてる......だからちょうど中間にいる感じなのかな?

■ゆうきさんがよく「うちらはイギリスのバンドだから」と言ってる言葉の背景にはどのような意味があるのでしょうか?

たいげん:うちらみたいなバンドが本当に初期から日本で、ずっとアングラでやってたと仮定して考えてみると面白いかも。日本のシーンって一個一個すごいかっこいいと思うんだよね、超突き詰めてるし、ニッチで良いとこ攻めるしさ、しかも同じような音が多いでしょ、ひとつのシーンに。これは悪い意味でも、良い意味でもなんだけど、何系ってすごい好きじゃん、例えば高円寺系だとか、渋谷系だとか。シーンも近くてバンドの音も似てるからバンドもお互いに影響受け合うし、っていうところで、影響受け合う人がすごい近いところにある環境。それはストイックでかっこ良いんだけど、なんかちょっとそれぞれのシーンが閉鎖的な感じもするのね、影響受け合う人もそうだし、なんか同じところでしかまわっていないと言うか。
 もしうちらがまったく同じメンバーで、日本で初期からそういうところで活動してたら、多分まわりの日本のバンドと似たような音になってたかもしれない、っていうところでUKのバンドっていうのをゆうきは意識してるんだと思う。最近BBCのインタヴューで僕たちがチャーチ(教会)でやったライヴについて訊かれたのね、けっこう歴史がある教会だったんだけど、そういう場所で演奏することに対してのことを質問されて、うちらBo NingenはBo Ningenだけれども、その場所に100%支配されるわけでもなく、Bo Ningenがその場所を100%支配するわけでもなくて、でもBo Ningenは100%Bo Ningenだし、歴史があるそのチャーチは100%チャーチなわけ、そこでうまく合わせていく、Bo Ningenのなかでのその場所に対してのリスペクトというか、対応みたいなものがあって、あのライヴが生まれたと思うんだけど、なんかそういう場合ってけっこう、なんていうのかな、わりかし我が強いバンドって言ったら変だけど、プロパーなロック・バンド、例えばガンズ・アンド・ローゼズでもなんでもいいんだけど、彼らがチャーチでやったら絶対どっちかに飲み込まれると思うんだよね、どっちかが強くなりすぎてしまうというか、そういう意味で色々なシチュエーションや場所でやってきた自負はうちらはあるから、『Dazed and Confused』の創立記念ファッション・パーティだとか、ヴェネツィア・ビエンナーレのアート・イヴェントだったりだとか、V&AミュージアムでのYoji Yamamotoのイヴェントとか。そこでしかできないことやいつも通りではできない事があって、それでも100%Bo Ningen出さなきゃいけないっていう、そういう経験はUKだからこそ出来たっていうところは感じてるし、いろんな場所でプレイできて、いろんな業界やシーンをクロスオヴァー出来たのはロンドンで活動してるからってのは思ってるかな。

■しかし、アンダーグラウンドなど、いまはアメリカのシーンに勢いがあると思うんですけど、敢えてイギリスを選ぶ理由や、日本を拠点にしない理由はなんでですか?

たいげん:僕は個人的に日本が大好きで、友だちからも日本が合ってるとよく言われるんだけど(笑)。前の質問でも触れたけど、日本にいないからこその日本人らしさや日本の良さをちゃんと見るためには、まだ日本に帰るのは早い気がする。アメリカは行ったことないから、実感がわかない。だから早く行ってライヴしてみたいな。これも前の質問と同じだけど、イギリスはシーンのクロスオーヴァーも盛んだし、ヨーロッパからいろいろな人やバンドが来たりと良い意味でも悪い意味でも混沌としてるから、音楽に留まらず、全体を見渡した時に表現、活動をする街としてはとても魅力的だよ。
■僕はザ・ホラーズのファリスがインタヴューでBo Ningenを紹介しているのを見つけて初めて存在を知りました。彼らとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?

たいげん:たしか最初はリースとドラムのジョーだったかな? 僕達がダモ鈴木(元カン)をサポートしたときに、彼らが見てくれてて。Bo Ningenはその日Damoさんの前座の演奏後に会場を移動して違う会場で演奏、ダブルヘッダーだったんだけど、彼らはメインのダモさんを見ずに僕たちを見にきてくれて。リースが2回目のライヴ後に話掛けてきて、「すげーよかった、ダモさん見ないで2回みちゃった。俺もバンドやってんだ」って、それで「なんてバンド?」って訊いたらホラーズって言われて(笑)。
 でも本当にUKはそういう感じで、お客さんも本当に幅広くて、なんかアーティストと、お客さん、業界っていうのが凄いクロスオヴァーする環境だと思う。もちろんうちらの音楽だとか、うちらの捉えられかたが普通のこっちのUKのバンドとはちょっと違うからという理由もあるとは思うのだけど、そういう環境っていうのは僕たちにとってすごいプラスになってると思うな。


■つい先日まで行われていた、ザ・ホラーズとのツアーでBo Ningenとして何をいちばん感じましたか?

たいげん:それまでもフェスや、British Sea Powerのサポートで大きな会場でやる機会もあったけど今回は会場の規模がさらに大きくて。しかも1000~3000人規模の会場で毎日演奏できるのは、本当に刺激的だった。とくに最後のBrixton Academyは4000人ぐらい入る会場で、その日のライヴが終わった後、会場の規模とパフォーマンスの関係性みたいなモノを考えさせられたよ。これは教会やミュージアムでライヴするときにも似てるんだけど、会場が違うとパフォーマンスも変わるということと似てるんだけど、小さいライヴハウスでお客さんが目の前にいる場所とBrixton Academyみたいなところだと、舞台とTVぐらい違いがあると思うのね。そこで考えすぎることはないんだけど、熱量の出し方というか、大きな会場の遠くで見れるお客さんまで届かせるためにはどうしたらよいのかなとか。これは無視しちゃいけない問題だなと思った。僕は小さいライヴハウスも大好きだけど、もっともっと大きな会場でも演奏したいから、これはいまの僕がいちばん考えてるとこ。あと、会場によってはほとんどのお客さんがBo Ningenはもちろん、メインストリーム以外の音楽を聴いたことない若い子だったりなんてこともあったから、良い衝撃でもトラウマでも、なにかしら残せた自負はある。ライヴ後にツイッター見てみると「Most Scariest Band ever seen(いままでで一番恐怖を覚えたバンド)」とか、「いま見たものをなんて言えば良いのかわからない......」みたいな意見があったりして(笑)、かと思えば「いま一番好きなバンドになった!」とか「本当にすごかった!こんなのはじめてだよ!」とか、直接的に褒めてくれる人もいたりして嬉しかったな。

■ザ・ホラーズにも似たようなことを強く感じていて、音からもそうなのですが、自分たちが影響を受けてきたものを僕らリスナーにしっかり提示している気がします、そういう目的意識は持っていますか?

たいげん:僕たちもそういう影響力があるバンドに成りたいと思ってて、自分の趣味を押しつけるわけではないんだけども、まあいまは昔とは違うんだけどね、いわゆるメディアとかの影響力は少しなくなってきてるじゃない、まあこれちょっとメディアのインタヴューで言うのもどうかと思うけど(笑)、まあメインストリームのメディアっていう意味だけど。いまって流行りっていうものを作れなくなってきてるじゃない? だからこそメインのメディアで取り上げられないようなバンドが口コミで注目されるようになったり、いままで以上にリスナー個人個人が自分で好きな音楽を見つけたり、そういうのって絶対強いし、それって健全なシーンの作り方だと思うのね、そういうなかでバンドが教育っていったらあれだけど、自分たちの音楽を聴いてるお客さんに対して、自分たちはどういうモノに影響を受けたか、普段どういう音楽を聴いてるだとか、こういう音楽もおすすめだよっていうのは本当に発信していかなきゃいけないことだと思うの、というか僕はしていきたいことなわけで、国民性とかももちろんあるとは思うんだけど、でもこういうのってバンドが発信していくことだと思うのね、自分たちがお客さんに対して自分たちの音楽しか聴かせないか、それとも自分たちはこういうものも聴いてるんだよってところで発信してゆくか、とくに日本のお客さんはシーンやジャンルでの好き嫌いがはっきりしてる人が多い気がするから、バンドが発信していくことでお客さんの音楽を含めたいろいろな興味の幅が広がって、みんながオープンな考え方になれれば最高だよね。それは発信してゆく音楽性とか、パフォーマンスとかにもそういうのは出るから。

■以前TEETHというバンドのインタヴューで、イギリスのレーべルの話になったときに、彼らはイギリスのバンドというよりも、いわゆるインディ・レーべルがいまのイギリスのシーンにとって良くないと言っていました。僕個人として、イギリスも僕らが見えないところで実は面白いことが起きてるんじゃないかと思っていて、アメリカよりも勢いがないと思われてる現状があるなか、そういう部分はフックアップしたいと思ってるのですが、実際のところズバリどうなんですか?

たいげん:僕たちが所属してるストールも規模で言えばインデ・レーベルで、うちらが契約してすぐのときはいまよりもう少しインディ系のバンドが多いレーべルだったんだけど、現在はハープの弾き語りのアーティストがいたり、もっとポップ寄りのバンドがいたり、日本語で歌ってる僕達がいたり、結構所属アーティストが多様化してるイメージだね。それで全体のシーンについてだけど、この流れでこんなこと僕も言いたくないんだけど、正直バンド関係の音楽シーンで面白いところ、すぐには思いつかないかも。

■ではバンドから切り離して考えて、シーンのなかでいちばん勢いのあるものはなんですか?

たいげん:僕が最近すごく思うのは、明らかにクラブのほうが得るものはデカイ  でもいまダブステップっていう言葉が一般的になって、少しチャラくなってるんだよね、ブローステップっていうのかな? ダブステップが出て来たときって、各自いろんな音楽からダブステップに変わっていくアーティストが増えて、たとえばブレイクコアとか、テクノであったりだとか、ガレージであったり、2ステップであったり、ノイズとかね、違うバックグラウンドの人がダブステップというか、低音を強調した音楽を出しはじめてもともとダブステップになったわけで、そうするとみんな楽曲にバックグラウンドが出るんだよね、僕はゴス・トラッドさんがすごい好きなのは、彼のバックグラウンドがよく出てるからで、ノイズであったり、2ステップであったり、ダブ、ドラムンだとかね、そのバランス感覚がすご好きで、しかも日本人だから純血UKのベース・ミュージックと比べるといっそう個性的で。ゴスさんは日本人だけど、わりとダブステップ創世記からいた人でもあるしね。
 でもいま流行ってるダブステップ、ブローステップってまったくバックグラウンドがない気がするのね、自分のルーツをうまく音楽に落とし込めてない気がして。でも、わりかし新しい人でもちゃんとストイックに作ってる人たちもやっぱりいて、特にイギリスのクラブシーンって黒人の移民も多くて、それがダブとかダブステップが生まれる原因にもなったんだけど、単純にクラブのサウンドシステムだとかが日本とまったく違うんだよね、本当に体感系なのよ、僕もそれで低音の概念相当変わったし、自分が信用してるDJやサウンドシステムがいるクラブに行ったほうがライヴハウスとかに比べて断然得るものは多いかな。確かジェームズ・ブレイクとかもその畑出身なんだよね? だからそういうところでの活性化は単純に良いよね、彼もメインに出て来てるし。
■ele-kingが選ぶ、2011年のアルバムランキングではジェームズ・ブレイクが1位でした。彼についてどう思いますか?

たいげん:個人的に声とかは好みじゃないけど、すごい斬新だし、実験的なところをポップ・ミュージックに突っ込んでるところとかすごい良いなとは思ったけどね。アプローチも面白いし、ああいうのがメインのところで評価されるのはやっぱり良いことだよね。

■これはイギリスに限定せず答えて欲しいのですが、現在のシーンで、自分たちと似たようなメンタリティを持っているアーティストっていますか?
たいげん:ももいろクローバーZとでんぱ組.inc! ももクロは僕の音楽の拘りから生まれてたJ-POPやアイドルへの嫌悪や偏見を一掃してくれたと同時に、音楽やライヴ・パフォーマンスに対する姿勢や本気度や全力性に関してはそこらのバンドとは次元が違うというか、もの凄すごいシンパシーを感じます。あと高校生ぐらいの年頃特有の、青春の爆発力や真っ直ぐな姿勢を見てると、自分がなくした感情を思い出したり、自分がライヴでガス欠になったときにブースターになったりする。対してでんぱ組は、ももクロより少しだけ年齢層が高いから僕たちと同じ目線というか、一緒にタイムマシンに乗って失った青春を謳歌しよう! という爆発力がある。対談や対バン、ライヴでのコラボを通して、清秋を拗らせた感じとか、だからこその全力性とか、シーンの壁を壊す姿勢だったりとか、いろいろとシンパシーを感じることが多くて。アイドルに興味がない他のメンバーも競演ライヴ後、凄い良い感触だったみたいで「同志だ」って言ってました(笑)、僕もライヴ後に「これが一生の思い出ってやつか......」って思うぐらい感動したしね。
■先ほど体感という言葉が出てきましたが、僕のなかでBo Ningenのライヴもまさに体感で、いろんな人に是非この感覚を味わって貰いたいのですが、ライヴに関して意識していることや、考えることはありますか?

たいげん:僕、灰野さんのライヴを初めて見たときに泣いてしまったわけですよ、ツーって涙が出るというより、座り込んでボロボロ涙が止まらなくて。なんか浄化というか、体のなかから毒が出たみたいな感覚があって、その経験が僕のなかですご大きくて、演奏する側になったいまでも、その感覚は忘れないよいにしてるし、良いライヴをしたなと思うときは自分で自分が浄化できた感覚になるよ。他にも演奏側が動かなかったらお客さんも動かないっていうこともあるし、自分がそういう精神状態というか、自分も楽しんでなきゃいけないし、自分もいつも新鮮じゃないといけないし、自分も表現できてないといけないし、やっぱりそれができてると自分の心にもうまく左右するわけで、自分がしっかりしてないとお客さんもそれは感じてくれないから、自分もうまくいけばそれは絶対お客さんにも伝わるものだと思ってるから。
 だから100%自分の為にやってるわけでもないし、100%お客さんのためにやってるわけでもないから、そのバランス? でもやっぱり根底では自分が良い音だしてなきゃいけない、自分が気持ちよくなきゃいけない、新鮮じゃなきゃいけない、自分自身が浄化できてるか? それでなにより僕は、他のアーティストのライヴで一番萎えるのは、さっきはダブステップで、バックグラウンドが見えないとか言ってたけど、インフルエンスが出過ぎてるのも萎えちゃうのね、「この人になりたいんだな」っていうのが見えてしまうと、自分のフィルターうまく通してやってればいいんだけど。
 僕は逆に、いかにステージで自分になれるか、いかに自分に嘘をつかないか、っていうところを突き詰めてやってるよ、やっぱりそれが自分が一番力を出せることだし。だからって自分の好きなものからまったく吸収しないわけじゃなくて、自分のなかの自分で何かをいろいろ吸収して、Bo Ningenとか、たいげん かわべというフィルターを通って外に出したものを、お客さんは見に来てるわけだから、そういうインフルエンスっていうのは、雑誌とか、こういうインタヴューで、こういう音楽が面白いとか、おすすめですって提示していけばいい話で、自分たちのステージはやっぱりいかに自分たちであるかというのが大事かな。
 あとライヴって非日常だから、いまこうやって喋ってる自分も素だし、ステージにいる自分も素だし、いまは日常で、ステージが非日常っていうのはお客さんも一緒だし、シュールレアリズムも含めて僕は非日常ってものにすごくどきどきするし、魅力を感じるから、ちょっと抽象的だけど、そういうところは出していきたいかな。非日常だからこその体験だし、でもそれはお客さんがいかに感じれるかって、うちらがどう感じてるかと同じだと思うんだよね、演奏してる側が少しでもつまんねなーとか感じてたら絶対お客さんに通じると思うんだよねそれって、だからこそうちらは毎回セットリストとかは変えてて、会場の雰囲気とか合わせるのもあって直前まで決めないことのほうが多いね。

■Bo Ningenのライヴ・パフォーマンスとしての可能性についてはどう考えますか?

たいげん:ライヴってジャンルを超えれるパワーがあるし、頭通さなくてわかるものはわかるというか、よくうちらのライヴ見てくれたお客さんの感想で、5感、6感全部使うっていう話をよく聞いて、ライヴ見ることを体験と捉えてくれることによって音源じゃ伝わらない部分まで伝わると思うんだよね、そこはBo Ningenだからこそっていう意識はあるし、捉え方は人それぞれだと思うんだけど、可能性を広げるというか、見てくれてる人の幅というか、ジャンルとか、年齢層とか幅が広がれば広がるほど感じ方もそれぞれ何100通りもわかれると思うから、見に来てくれた人の分だけ違う受け取り方があるわけだよね? 何かそれ自体が可能性って気はするよね。どういう可能性があるっていうよりかはどんだけいろんな可能性を増やせるかって可能性(笑)? っていうのかな。

■なるほど、では最後にセカンド・アルバムについての現在の制作状況を教えてください。

たいげん:楽器とヴォーカルの録音はすべて終わっていて、いま僕がミックス作業をしているところだよ。

■ありがとうございました。メンバーの皆さんに感謝です1

 今回のインタヴューで彼らに興味を持った方は、今夏の来日公演に是非足を運んで欲しい。7月20日の東京は高円寺 UFO CLUBを皮切りに、22日 仙台 CLUB SHAFT、8月3日 大阪 FANDANGO、4日 名古屋 アポロシアター、5日 金沢テトラポット、6日 京都 METRO、そして最終日には東京に戻り、代官山UNITでの来日公演を予定している。


Biography
Bo Ningen(棒人間)は、イギリスの〈Stolen Recordings〉に所属する日本人4人組で、2009年に限定リリースしたEP『Koroshitai Kimochi』でデビュー。昨年には国内版アルバム『Bo ningen ボー・ニンゲン(棒人間)』と、EP『Henkan』をリリース。ライヴ・パフォーマンスは国境を超え、見る人すべてを虜にし、脳髄に衝撃を与える。今年はザ・ホラーズともにツアーをまわる。最近はダモ鈴木とのコラボレーション・アルバム『Foreign Affair Confidential 』を発表したばかり。この夏には再来日公演が決まっている。
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