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オリンパスのケースに見る内部告発者の悲惨な現状 2009年3月4日

Daiamondo 2009年3月4日
http://diamond.jp/articles/-/1497
経済、政治に大きなニュースはあるのだが、今回は、別の問題を取り上げる。2月27日の各紙で報道された、内部告発の問題だ。

 一番詳しく報じていた読売新聞(27日朝刊)の記事に基づいて内容をざっと伝えると、東証1部上場の精密機器メーカー「オリンパス」の男性社員が、社内のコンプライアンス通報窓口に上司に関する告発をした結果、配置転換などの制裁を受けたとして、近く東京弁護士会に人権救済を申し立てるという。

告発の内容は、浜田正晴さん(48歳。申し立てを行っているとして既に実名報道されている)が大手鉄鋼メーカー向けに精密検査システムの販売を担当していた2007年4月、取引先から機密情報を知る社員を引き抜こうとする社内の動きを知った。浜田さんは不正競争防止法違反(営業秘密の侵害)の可能性があると判断し、当初は上司に懸念を伝えたが、聞き入れられなかったため、この件を、同年6月にオリンパス社内に設置されている「コンプライアンスヘルプライン室」に通報したという。

 記事によると、オリンパスは、浜田さんの告発を受けて、相手側の取引先に謝罪したという。謝ったということは、浜田さんが告発した内容そのものについては「不正競争防止法違反」の可能性があると判断し、悪いことだと認めたということだろう。

 しかし、告発した浜田さんのその後が、何ともやり切れない。読売新聞の記事によると、オリンパスのコンプライアンス窓口の責任者は、浜田さんとのメールを、不正の当該部署の上司と人事部にも送信した(先ずは、ここがまずい)。約2ヵ月後、浜田さんは、なんとその上司の管轄する別セクションに異動を言い渡された。配属先は畑違いの技術系の職場で、現在まで約1年半、部署外の人間と許可なく連絡を取ることを禁じられ、資料整理しか仕事が与えられない状況に置かれているという。人事評価も、長期病欠者並の低評価だという。

浜田さんは昨年2月、オリンパスと上司に対し異動の取り消しなどを求め東京地裁に提訴し、係争中だ。窓口の責任者が「機密保持の約束を守らずに、メールを配信してしまいました」と浜田さんに謝罪するメールも証拠として提出されたというが、オリンパス広報IR室は「本人の了解を得て上司などにメールした。異動は本人の適性を考えたもので、評価は通報への報復ではない」とコメントしている。
常識的に判断するかぎり、コンプライアンス窓口に通報する社員が、相手に対して自分が通報者だと通知することを了解するとは考えにくい。これは、オリンパスの説明のほうに無理があるのではないか。

 2006年4月に施行された「公益通報者保護法」に関する内閣府の運用指針には、通報者の秘密保持の徹底のほか、仮に通報者が特定されるようなことがあっても、通報者が解雇されたり、不当な扱いを受けたりすることがないようにと明記されている。また、読売新聞によると、オリンパスの社内規則でも、通報者が特定される情報開示を窓口担当者に禁じているという。記事を読む限り、オリンパスは、内閣府の運用指針も自社の社内規則も尊重していない。

 オリンパスにとって、この内部告発は会社の利益になったと考えられる。取引先から機密情報を知る社員を本当に引き抜き、後々明るみに出たら、不正競争防止法違反になって、もっと大きな問題となったかもしれない。そう思ったからこそ、オリンパスは“引き抜き”を止めたのだろうし、後々問題化すると困るから相手側に謝罪したのだろう(ところで、本筋には関係ないが、この「引き抜かれなかった社員」のその後
も気になる)。それなのに、浜田さんに対するこの扱いは釈然としない

 このオリンパスのケースに限らず、企業社会の現実として、内部告発者が不当に扱われることは十分にあり得る話だ。たとえば、ある上司をセクハラで訴えたら、その上司が会社で重宝されている人だったために、訴えたほうが最終的には会社にいられなくなるように追い込まれたといった、とんでもない話を聞いたこともある。

 読者への率直な忠告としては、まず会社のコンプライアンス窓口やいわゆる目安箱的制度を簡単に信用してはいけない、と申し上げておこう。

 問題を起こしている当事者や責任者が、会社の中で有力者だった場合、通報窓口が裏切る可能性を覚悟しておくべきだ(いかにいけないことだとしても、現実に起こりうる)。その際に、どうするかも考えてから告発を行うべきだ。
徹底的に不正を止めるつもりなら、メディアに告発するなど、次の手段も検討しておきたい。ただ、そこまでやる場合には、自分の職業人生をどうするかも考えておく必要がある。転職などの「退路」を準備しなければならない場合もあるだろう。

 会社のコンプライアンス窓口に自ら名乗り出る以外の告発の手段も検討しておこう。コンプライアンスの窓口なり社長室なりに対して匿名で、あるいは外部者を装って告発をして、様子を見る手もある。また、一般論として、そういう不正のケースがあるということを、マスコミに書かせる選択肢もある。上手く行くと、問題の人物や組織が悪事を止めるように促すことができる。

 そもそもコンプライアンス窓口のレポートラインに問題があるケースもある。理想論を言うと、コンプライアンス部署は、オペレーションのラインとは別のラインで株主に対して直結しているべきで、社長に対しても牽制がきくようでなければならない。しかし、実際には、社長であったり、管理担当の役員であったり、オペレーションラインの実質的な影響下にあるケースが少なくない。
また、告発を行う場合には、どのような告発内容を伝えたのか、その時に相手が何を言ったのか、記録をきちんと取っておくことが重要だ。オリンパスのケースでは、メールの転送については本人の了承を得たと会社側が言っているが、事実がこれと異なる場合、そうした言い訳をさせないためにも、絶対に社内に漏らさないと確認した上で、どういうやり取りがあったのか記録をしておきたい。

 付け加えると、告発内容そのものに関しても、いつ何があったのか記録を持っていることが大事だ(ノートや日記、手帳へのメモでもいい)。最終的に何か争いになったときには、自分を守るために記録が役立つことがあるし、また、きちんと記録しておけば、相手に対して、適度なプレッシャーをかけることにもなる。

内部告発者のための
制度的整備が必要

 それにしても、今回のオリンパスのケースを見ると、内部通報者の立場があまりに可哀そうだ。告発をして、告発が正しいものとして扱われ、かつ告発された側が眼を覚まして、目的が達成されたとしても、何ら本人のメリットにはならない。
もちろん個人的なメリットのために告発を行うのではいけないが、告発者の側が、自分で悪いことをしたわけでもないのに、自分が告発したことを誰かに知られるのではないかと、びくびくしながら、毎日を過ごさなければならないのでは割りに合わない。不正に手を染めずに済んだとか、不正を見過ごさずに済んだという社会人としての正しい満足感はあろうが、少なくともサラリーマンとしては、リスクとデメリットばかりが目に付く。

 せいぜいうまくいっても何もなしで、何かまずいことがあると逆恨みされ、人事上不利益となる。むろん、内部告発者を解雇してはいけない、不当に扱ってはいけないことは前述のとおり公益通報者保護法で明記されているから、企業側と争い裁判で勝って不当な人事を撤回させることは可能だろう。だが、そこまですると、会社での“居づらさ”は増すだろうし、事実上居られなくなることもあるだろう。

 制度にも問題があるのではないだろうか。内部告発の扱いに関して不正が明らかになった場合の企業への罰則規定は最低限必要だ。また、企業が内部告発者を不当に扱ったことによって、内部告発者に不利益があった場合、その不利益と精神的苦痛を十分に補うだけの補償がなされるように規定を整備すべきだ(仮に判例が出来てもそれだけでは不十分であり、明文化された規定があることが望ましい)。

 ここ数年間いろいろな企業不祥事が出てくるようになったが、不祥事は急に増えたのではなく、昔からあったのだろう。それが多数表面化し出したのは、内部告発が多少なりとも機能するようになったからだろうし、これ自体は世の中にとって良いことだ。

 率直に言って、申し立てを行う立場にまで追い込まれたオリンパスの浜田さんの、今後のサラリーマン人生は大変だろうと思う。筆者は、原稿で応援することぐらいしかできないが、会社のためにも社会のためにもなる正しいことをしたのだと胸を張って、負けずに頑張ってほしい。

オリンパス内部通報の濱田さん、パワハラ激化で3度目の人権救済申立 勝訴確定でコンプライアンス推進部長職を要望
01:23 07/29 2012 my news Japan
http://www.mynewsjapan.com/reports/1665
オリンパス社員の濱田正晴さんは、コンプライアンス室に社内の不正行為を内部通報した結果、報復人事とパワハラを受けた。上司と会社を相手取った裁判では今年6月下旬、最高裁で勝訴が確定。だが現在も、「給料(ランクP2=年収700万円台)は払うから何をしていてもよい」と仕事を与えず野放しにする前代未聞のパワハラを受けており、今月11日には3度目となる人権救済申立てを行った。今後の焦点は人事処遇。子会社への転籍、つまり本体から退職させる打診をしてきた会社側に対し、濱田さんは「オリンパス再生に尽力したい」と、グループコンプライアンス推進部長職を希望している。転籍は、明らかに公益通報者保護法の趣旨に反する。オリンパスはいつまで過ちを続けるのか。濱田さんに現場の実態を詳細に聞いた。(高裁判決文はPDFダウンロード可)
オリンパス本社のグループコンプライアンス推進部長として会社に貢献したいーー。それが、濱田正晴さん(51)が会社に伝えている要望だ。

 濱田さんは、入社28年目のオリンパス現役社員。社内コンプライアンスの内部通報被害者でもある。

 鉄鋼業界向けの非破壊検査機器の営業チームリーダだった2007年6月、上司が重要顧客の社員を、立て続けに不正に引き抜こうとしていることを知った。社内のコンプライアンス室に通報したところ、室長が上司と人事部長に無断漏洩、制裁としてまったく未経験の調査研究職に配転させられ、それから現在まで5年近く、最低水準の業績評価や暴言、無意味な仕事をさせられるなどのパワハラを受けていた。

 そんな濱田さんが、なぜグループコンプライアンス推進部長を希望するのか。あえて聞くと、会社と上司を相手に闘った約4年半の裁判の経験を生かして、「オリンパスを建て直したい、会社のために力を発揮したい」という答えが返ってきた。

 「マイケル・ウッドフォード元社長の件で、会社にはコンプライアンス意識が欠けていることが分かった。いま、オリンパス再建のためには、コンプライアンス意識の見直しが求められている。この部門で力を発揮することが、自分がいま最大限やるべきことじゃないかと思った」

 「企業倫理や企業統治、社内外の通報窓口、運用規定など、企業が社会的責任を果たすためのしくみを確立させて、実効力をもって機能するように推進していく。会社が、真の再生を果たせることに尽力したい。オリンパスのためにならないところは全部改めるくらいやっていこうと思っているし、その自信もある」

 ――というのだ。

◇配転無効が確定 処遇は「本人の意向尊重」と会社
 07年10月に調査研究職に配転となった濱田さんは、翌08年2月、配転は通報者の不利益な取扱いを禁止した公益通報者保護法と会社のコンプライアンスヘルプライン運用規程に反するとして、配転無効と慰謝料などを求めて上司とオリンパスを東京地裁に提訴。

 一審は敗訴だったが昨年8月に東京高裁で逆転勝訴し、今年6月28日、最高裁がオリンパスの上告を退ける決定をしたことで、高裁判決が確定した。


1985年01月01日 技術職としてオリンパス光学工業株式会社(現・オリンパス株式会社)入社
1994年 本人の希望により営業職に転身
1999年 セールスマンとして米国駐在
2001年 米国最優秀セールスとして表彰を受ける
2006年11月 NDTシステム営業担当
2007年06月 コンプライアンス室に内部通報
2007年07月 コンプライアンス室長が氏名、通報内容、回答等を無断漏洩
2007年08月 配転の内示
2007年10月 配転の実施(第1次配転)、調査研究職に
2008年02月18日 配転無効を求めて会社と上司を提訴(東京地裁)
2009年03月02日 東京弁護士会に人権救済申立(1回目)
2010年01月01日 第2次配転、品質保証部長付きで顕微鏡の商品規格の和文英訳
2010年01月15日 東京地裁で敗訴
2010年10月01日 第3次配転、品質保証部システム品質グループで新入社員向け業務の独習とテスト
2011年08月31日 東京高裁で逆転勝訴
2011年10月12日 東京弁護士会に人権救済申立(2回目)
2012年01月27日 1回目の人権救済申立を受けて東京弁護士会がオリンパスに警告
2012年06月28日 最高裁がオリンパスの上告棄却、上告受理申立の不受理決定、勝訴確定
2012年07月11日 東京弁護士会に人権救済申立(3回目)



 東京高裁は、配転は上司の個人的感情によるもので、業務とは無関係で不当であり、内部通報に対する制裁的なものだったと認定、「通報による不利益取扱を禁止した(同社のコンプライアンスヘルプライン)運用規定にも反する」と判断した。コンプライアンス室長の守秘義務違反のほか、上司のパワハラも不法行為と認めた。
判決確定後、オリンパスは濱田さんの処遇について、「本人の希望を聞き、話し合って決めたい」(読売新聞6月30日付朝刊)、「希望する部署を聞きながら話し合いを進めているところで、今後も本人の意向を尊重しながら判決に従って対応します」(NHK7月11日)などとコメントしている。

 その「本人の希望」が、オリンパス本社のグループコンプライアンス推進部長だ。濱田さんは「会社の真の再生に力を発揮できる。合理的な希望だ」と話す。

◇部長職は「最適なポジション」
 「コンプライアンス運用規定には、通報したことを理由として不利益にしないという約束があった。それから5年近く経っている.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。


ここにも隠蔽体質が! 上司の不正を通報したら異動、孤立、罵詈雑言の仕打ちが現役社員が実名告発「オリンパス地獄のパワハラ」
現代ビジネス2012年01月29日(日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31655
「不祥事で世間を騒がせたことについて、社長から通り一遍の謝罪がありましたが、反省しているようには思えなかった。しかし、『この事態の中でも、従業員が業務に100%の力を発揮したことが嬉しい』などという話が終わると、なぜか会場中に拍手が沸き起こったんです」

 昨年10月、買収に関する不正な支払いを追及していたマイケル・ウッドフォード氏(51)の社長職を解任し、その後、巨額の損失隠しが明らかになったオリンパス。今年1月8日、同社は菊川剛前会長(70)ら19人の現旧役員に責任があるとして、計36億円の賠償を請求する訴訟を東京地裁に起こしている。

 しかし、その19人の一人である高山修一社長(61)が1月5日、東京本社で新年のあいさつを述べると、社員たちは、何事もなかったかのように拍手喝采したと、出席した社員は冒頭のように明かす。

「皆、抜け殻みたいに無表情で、気持ち悪い。反会社の人間は粛清されるからね。北朝鮮と一緒ですよ」(同社員)

 そのオリンパスで、まさに〝粛清〟を受け続けている現役社員がいる。4年間にわたり社内で不当かつ陰湿な扱いを受けてきた濱田正晴氏(51)がその人。その濱田氏が、会社を訴え二審で勝訴するまでの過酷な日々を、詳細に語った。

 濱田氏は'85年に中途入社。営業職として米国赴任中の'02年には、北米でトップセールスを記録している。順風満帆だった濱田氏のキャリアが大きく転換したのは'07年4月だった。高度な検査機器を扱うシステムグループの営業チームリーダーだった濱田氏は、上司である部長・A氏らが、重要な顧客である鉄鋼会社から、専門知識を持つ社員を引き抜こうとしていたことを知った。

「まず一人目が引き抜かれた際に、その鉄鋼会社の営業担当だった私は、先方の取締役に激怒されたんです。引き抜いた社員は先方のエース級だったので、社内情報が漏れることを危惧していました。しかし、A氏らは、さらに二人目を引き抜こうとしていた。これは、不正競争防止法に抵触する恐れもありますし、何よりもオリンパスが顧客からの信頼を失ってしまうのではないかと考えたんです」

 そう思った濱田氏は、まずA氏に引き抜きを思いとどまるよう進言した。しかし取り合ってもらえず、6月、社内の規程に基づき、コンプライアンス室に通報。同室長は濱田氏を呼び出し、「引き抜きが事実なら問題だ。調査、対処して連絡するので、今回の通報は誰にも口外しないように」と、念押ししたという。

 ところが、7月上旬、コンプライアンス室長からの回答メールは、あろうことか、当事者であるA氏や人事部長宛てにもCCで同時送信されていたのである。通報者の立場を守るという社内通報の基本が守られていなかったのだ。結局二人目の引き抜きは未然に防げたが、A氏は、濱田氏がコンプライアンス室へ通報したことが気に障った様子だったという。

「常に見張られている」


 8月下旬、濱田氏の不安が現実のものとなる。突然、企画営業部部長付への異動を命じられたのだ。
「異動先での業務は、『新事業創生探索』という、まったく畑違いのもの。営業を15年間続けてきた私にとっては、異動の意義が理解できませんでした」

 すでに異動の内示の段階から、貸与されている携帯電話やパソコンの無線を返却するよう指示され、取引先への引き継ぎも一切行えない。濱田氏は救いを求めて労働組合の幹部に相談した。

「幹部の方は、最初は『会社が悪い。濱田さんは私たちが守る』と言ってくれたのですが、その直後になぜか掌を返したように『協力できない』との連絡があったんです。さらに、当時社長だった菊川前会長にもメールを送ったのですが、返信はなく、人事部長が『社長から、〝人事部門が的確に対応すること〟とのご指示を頂戴しました』とメールを送ってきただけでした」

 異動後は、周囲の社員からも話しかけられなくなり、濱田氏は孤立した。しかも、彼は部長3人に囲まれた席に座らされ、「常に見張られているかのような見せしめの状況だった」という。
その後も、濱田氏は地獄とも呼べるパワハラ行為を次々に受けることになる。中でも彼が報復だと感じたのが、計3回の配置転換だった。2回目の配転時には「濱田君教育計画」という名の教育まで始まった。

「それは、顕微鏡のテキストを毎日読んで、テストを受けるというものでした。みんなが忙しく働いているフロアの中で、私だけが毎日専門外のテキストを一人で黙々と読む日々が続いたんです」

 業務中に外出することも禁じられ、会議への参加も許されなくなった。パワハラは、ボーナスの査定の前提となる職務への評価表にも表れた。「リーダーからの評価」の欄に「業務指示違反と機密漏えいがあった」と記載されていたのだ。濱田氏が上司にその根拠を質問すると、「機密漏えい」の部分が削除され、代わりに「組織の規律を乱した」と書き直されたという。

「オリンパスでは、業務の評価を点数で表示するシステムになっており、その点数に応じて賞与額や昇給額が決まります。通常は100点から130点が付き、私もそれまではずっと110点台でした。しかし、異動後の私の評価点は95点。労働協約では、95点は長期病欠者扱いです。40点台の評価をつけた上司もいました」
会社側の〝隠蔽工作〟

 '08年2月、ついに濱田氏は、配転命令の無効と精神的被害などに対する慰謝料1000万円の支払いを求めて、会社とA氏らを相手取って東京地裁に訴訟を起こしたが、'10年1月、濱田氏の訴えは棄却された。また、併行して'09年の3月に濱田氏は東京弁護士会に人権救済の申し立てを行い、それをきっかけにテレビなどでこの問題が報じられると、会社は徹底した〝隠蔽工作〟を図るようになった。
総務部から各部署の所属長宛てに、濱田氏の主張とまったく異なる趣旨のメールが一斉に送信されたのである。本誌が独自に入手したそのメールには、「コンプライアンス通報については、通報者の了解に基づいて関係者に知らせたにすぎない」、「異動後の人事評価は、本人の努力不足から、残念な結果となっている」という趣旨の文言が記されていた。まるで濱田氏がウソつきで無能だと会社全体に呼びかけているようなものだ。

 一審判決を受け、濱田氏は東京高裁に控訴したが、その後もパワハラは続いた。

「上司に質問しようとしても、『メールで送れ』と言われ、『口頭で説明するかメールでするかは、お前が選ぶことじゃない、ふざけんな!』とか、『仕事の邪魔』などと罵詈雑言を吐かれたことさえありました。3度にわたる配転の最中には、当時統括本部長だった高山社長と同じフロアにいた時期もあり、私への仕打ちを把握していたはずですが、彼からも何のアクションもありませんでした」
しかし、濱田氏の粘り強い訴えがついに認められる日が来た。東京高裁は昨年8月、一審の判決を破棄し、オリンパスに220万円の損害賠償を支払うよう命じる逆転勝訴を言い渡したのだ。同社は最高裁に上告。その上告理由書で同社は次のように主張している。

「本件内部通報は、公益通報者保護法の対象となる法令違反事実の通報でなく、社会的に要保護性が高いものでもない。この程度の内部通報を過度に保護しようとするあまり、その後に行われた配転をすべて報復などという色眼鏡で見れば、企業は内部通報らしきものを行った従業員を永遠に希望外の部署に配転できないことになってしまう」

 しかし、原告代理人の中村雅人弁護士は、こう指摘する。

「一番の問題は、大企業が社内のコンプライアンスルールを定めてコンプライアンス室を設けるなど、外見上は整っていても、きちんと運営されていないこと。それを善意で信じて、ここに通報すれば是正されるだろうと思ったら、逆に会社全体で隠蔽し、通報者をつぶそうとした。日本企業が抱える問題点だと思います」

 現在も濱田氏は、出勤すると、誰とも会話を交わすことなく、黙々とデータの入力作業を続ける毎日だ。

「奇しくも、損失隠しの発覚で、オリンパスの隠蔽体質が明るみに出ました。会社と裁判になってはいますが、私は今でもオリンパスブランドを愛しています。損失隠しの件をきっかけに、会社が膿をすべて出し切ってくれたらと願っています」

 濱田氏の願いは聞き届けられるのか。最高裁の判決と、オリンパスの再生に注目したい。
「フライデー」2012年2月3日号より

注)個人ブログより転載
オリンパスの内部告発者いじめ・報復・パワハラ 裁判の判決も無視
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-5033.html
2014-04-30
オリンパス訴訟:内部通報報復 社員が再度救済求める 毎日新聞 2011年10月13日

上司の取引先社員の引き抜き行為を問題視して内部通報したところ、閑職に配置転換されたとして提訴した精密機器メーカー「オリンパス」社員、浜田正晴さん(50)が12日、オリンパスに警告・勧告を出すよう求め、東京弁護士会に2回目の人権救済申し立てをした。

 1回目は09年3月で、今も結論が出ていない。訴訟では配転先での就労義務がないことの確認などを求め、東京高裁が8月、配転を事実上の報復人事と認める浜田さん側勝訴の判決を言い渡している(同社側は上告)。
リンク切れ http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111013ddm012040059000c.html


(前部略)
 以下は続報で、東京弁護士会からの警告というもの。

弁護士会がオリンパスに警告 「報復配転は重大な人権侵害」(2012.1.27 19:57 産経新聞)

 上司の不正行為を内部通報したオリンパス社員、浜田正晴さん(51)を不当に配置転換したのは「重大な人権侵害にあたる」として、東京弁護士会は27日、適切な部署に配置して業務を適正に評価するようオリンパスに警告した。浜田さんからの人権救済申し立てに基づくもので、法的拘束力はないが、警告は最も重い措置。

 警告書によると、浜田さんは平成19年6月、上司が取引先社員の引き抜きを行っていると社内窓口に通報したところ、通報内容を上司らに伝えられ、専門外の部署に異動を命じられた。

 東京弁護士会は「配転命令は報復目的だった」と認定。社外取引先との接触禁止命令や、病欠者と同等の成績評価について「継続的なパワーハラスメントで、人権侵害の程度は極めて重大」と指摘した。

 浜田さんが配転の無効確認を求めた訴えについて東京高裁は昨年8月、公益通報者保護法に基づく社内規定に違反した不当配転と認定。オリンパス側に賠償を命じたが、同社側は判決を不服として上告している。

 浜田さんは配転後、新人向けの教材を読むなど「浜田君教育計画」と題する業務を課されたが、今年に入ってからは孤立した席で、業務指示を一切与えられない状態だという。

 浜田さんは警告後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、現状を「人間としてとても辛い」と吐露。「陰湿な見せしめは終わりにしてほしい」と環境改善を求めた。


 「浜田君教育計画」ってまさしくいじめの典型。いや、本当呆れるほどひどいです。腐ってますね。このいじめはオリンパスショックで揺れている最中ですし、何より浜田さんが勝訴した後になっても行われていたということになります。

 オリンパスは判決を不服として上告していましたので、確かに判決は確定はしていません。でも、揉めている真っ最中にパワハラを繰り返しさらに悪化させるというのは、気が狂っています。オリンパス側が勝訴しているならともかく、敗訴しているということは状況が不利なんですから、普通はそれ以上のことはしませんよ。

 オリンパス事件は経営陣という芯が腐っていたというだけで、オリンパス社員に罪はないという報道がありました。しかし、こういう別の事件もあったのを見ると、そういう判断は間違いじゃないかと思います。オリンパスは社員もおかしかったような…。

 あと、オリンパス絡みだと海外法人の未使用の話がありました。2013年以降は報道なくなりましたが、当時は続けざまだったので、オリンパスってどこもヤバいんじゃないのかと思いました。

オリンパス現法社長が死亡 インドで、自殺か 「ご迷惑をお掛けして…」と遺書
2012.2.21 11:36 共同通信

 21日付のインド紙タイムズ・オブ・インディアは、オリンパス現地法人の内視鏡メーカー、オリンパスメディカルシステムズインディア社長の大森力さん(49)が20日、ニューデリー近郊グルガオンの公園で首をつって死亡しているのが見つかったと報じた。自殺とみられる。オリンパスは大森さんが死亡したことを確認したが、死因などは不明としている。

 同紙によると、日本語の遺書2通が見つかり、1通は家族宛て、もう1通には「ご迷惑をお掛けしてすみません」などと書かれていた。地元警察当局者は、在インド日本大使館にも男性の遺体が見つかったと連絡。同大使館は「報道の内容は承知している」としたが、身元は明らかにしなかった。

 オリンパスメディカルシステムズインディアは、インドにおける内視鏡など医療機器の営業拠点として2010年4月に設立された。(共同)
リンク切れ http://sankei.jp.msn.com/world/news/120221/asi12022111380000-n1.htm



 以下も海外法人ですが、こちらはその後問題となっていませんし、きちんと内部告発が機能した事例なのかも。

オリンパスが韓国法人社長解任 解毒か第二のウッドフォードか
2012年6月26日 週刊ダイヤモンド編集部

 一連の損失隠しによる不祥事からの再生途上にあるオリンパスだが、その役員人事が再び波紋を投じている。

 オリンパスは6月4日、本社執行役員で韓国法人の社長でもある方日錫(バンイルソク)氏を解任。6月15日には、「違法な職務行為があったことが社内調査で発覚した」と理由を発表した。

 (中略)状況だけ見ると、まさに菊川氏の損失隠しを暴こうとしたマイケル・ウッドフォード元社長を解任したときと瓜二つということもあり、さまざまな憶測が飛び交っているのだ。

 とはいえ、オリンパス関係者によれば、「今回の一件は韓国法人の内部告発に端を発しており、性質がまったく異なる」と否定。近いうちに方氏に対して法的措置を取るとしている。

 再生途上で出てきた膿か、それとも第二の“ウッドフォード・ショック”なのか。国内外で事態の進展に注目が集まっており、ガバナンスの強化をうたうオリンパスからの一刻も早い詳細の公表と、真相究明が待たれる。
http://diamond.jp/articles/-/20569

最後にもう一度内部告発者いじめの話。海外法人の事件の後にもう一度報道がありました。

内部通報者「勝訴後も仕事なし」 オリンパスを再び提訴- 朝日新聞デジタル(2012年9月3日18時22分)

 精密機器メーカーのオリンパスで内部通報した社員の浜田正晴氏(51)が配置転換された問題で、浜田氏が3日、「最高裁が配転を無効とした後も仕事を与えられず、子会社への転籍や出向を求められ続けた」とし、1500万円の損害賠償をオリンパスに求める訴訟を東京地裁に起こした。

 浜田氏は上司の企業倫理違反の疑いをコンプライアンス室に内部通報した後の2007年10月、畑違いの部署に配転された。上司や同社を提訴し、配転を無効とする東京高裁判決が今年6月に最高裁で確定した。
リンク切れ http://news.infoseek.co.jp/article/asahi_TKY201209030349

 今度は最高裁まで行って確定したにも関わらず、判決に従わなかったという話。先ほどのまだ確定していないから…という言い訳すらできません。
 この件はなぜか全く話題になりませんでしたけど、ここまで社会を舐めた対応は珍しいと思います。

オリンパス事件は氷山の一角 現役産業医が語る「リアルでブラックなクビ切り術」
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20111026/Cyzo_201110_post_8912.html
日刊サイゾー 2011年10月26日 21時00分 (2011年11月28日 08時01分 更新)

勤務先の非合法行為を内部告発したことで不当解雇を迫られた社員が、勤務先である精密機器大手のオリンパス社を相手取り起こした裁判の二審で、9月、原告社員が勝訴(220万円の損害賠償)を勝ち取った。オリンパス社と顧問弁護士、産業医のブラックな連携による悪質な手口が明らかになるに連れ、社会的な反響は増すばかりだ。
 同事件の内幕を報じた前回の本サイト記事(オリンパス敗訴で明らかになった女弁護士のブラック過ぎる手口v2011.09.11 日 
http://www.cyzo.com/2011/09/post_8463.html)でも、記事の配信先サイトも含めたリツイートが3,000件を超えるなどの"炎上"状態となり、「悪質すぎて信じられない」「本当にそんなひどい医者がいるのか!?」といった反響が多数寄せられた。
 そこで今回、前回の取材に協力してもらった産業医とは別の、他の複数の現役産業医や産業医経験者らからも話を聞き、彼らの周りで起こっている「産業医の今」を語ってもらうことにした。
 まずは産業医とは何であるか、基本的な定義から再確認しておきたい。
 産業医とは「職場で労働者の健康管理にあたる医師」(大辞林より)とある通り、労働安全衛生法13条により、50人以上の労働者が常時従事する事業所には、労働者の健康管理のために産業医を置くことが義務づけられている。該当する企業が産業医の設置を怠ったり、選任だけして適切な業務を行わせなかったりした場合は、50万円以下の罰金処分が科せられる。
 また、同法3項には、「産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業主に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる」とあり、「オリンパス事件」はこれが企業側により悪用されたケースと言えそうだ。
 この「悪用」の詳細については、前回の本サイトの関連記事中で、関係者証言からの概要を以下の通りお伝えした(引用は要約)。
「悪質な企業では、会社にとって都合の悪い社員に『精神的なケアをする』との名目で、会社お抱えの産業医に診断をさせる。会社とグルの産業医は、その社員を『君は精神疾患だ』『重度のウツなので治療が必要』と診断し、精神病院への措置入院を誘導したり、合法的に解雇したりして、事実を隠蔽してしまう」
 法を利用した、まさにブラック過ぎる手口と言える。さて、その産業医、大きく以下の2種類に分けることができる。
 ひとつは、産業医である前に自身で病院経営をし、産業医は非常勤として受任している医師。産業医をしなくても安定した固定収入があり、あくまで「バイト感覚というか、ボランティアのような気持ちで産業医は引き受けている」(30代開業医)場合が多い。…
報酬は出勤日数により千差万別だが、一例を挙げれば「月1回か2回出勤して2万から5万程度。それでも何社か掛け持ちすれば20~30万になる」(同)という。
 もうひとつは、事業所に常駐する産業医である。年収は「一般企業の役員程度で、金額的には1,500万程度かそれ以下」(40代医師)が一般的。当然ながら、収入はその事業所からの報酬に限定されるため、「立場的には総務部所属の一社員と同じような存在」(同)となる場合が多く、構造的に見て「会社の言いなりになるのも当然」(同)と言えそうだ。
 ところで、一般に産業医に就くにはどのようなルートがあるのだろうか。前出の30代開業医は、「同業の紹介で『○○って会社が産業医探してるんだけどやらない? おまえ暇だろ』という誘いもあったし(笑)、自分からなりたい場合は、医師会を通して斡旋してもらう方法もある」と言うが、多くは「産業医専門の派遣会社に登録して紹介してもらうケースが、数としては圧倒的に多い」(同)ようだ。
 ためしにネット上で「産業医 派遣会社」で検索すると、関連会社や関係サイトがズラリと検出される。そのうちの一社に業務内容を電話で尋ねると、「産業医になりたいという希望者と事業所の間に入りながら、医師との面接から契約までを、責任を持って行っております」(某社広報)とのこと。仕組みそのものは一般の派遣会社と同じだ。

■「上司からの指示という感覚」でモラルを捨てる産業医
 さて、オリンパスなどのブラック企業の報道に見られるような、会社の命令で社員を追い込む悪質な産業医の実態についてはどうだろうか。筆者の質問に対し、ある40代の男性医師は「普通にいますよ」とあっさりと言い切った上で、「自分自身も経験がある」と告白してくれた。数年前に某メーカーでウツ気味の男性社員の相談を受けていたその医師は、結果的に会社側の片棒を担ぐ形で、その社員を解雇に追い込んだことを、今も気に病んでいるという。
「ある日、総務部の人間から書類を渡されて、『これに署名をもらってきてください』と言われたんです。内容は、休職中の補償などが記されている形式的なものだったのですが、実は『いかなる薬であっても常用している場合は復職できない』旨の一文が、小さな文字で隅に記されていたんです。でも、今の時代、睡眠薬を常用している人なんて普通にいますよね。彼もそのパターンで、結果的にその署名が誓約書となり、仕事に戻る上での障害になりました。…
本人は民事訴訟も考えたようですが、最後は『そんなエネルギーも、もうない』と言って辞めていきました。気づかなかったとはいえ、直接書かせたのは私ですからね。思い出すと気が重くなりますよ」
 一方で、こうした産業医の横行を、「世の中に当たり前にある話と感じていた」とも言い、本サイト記事を読んでショックを受けた読者が多かったことを告げると、むしろ驚いた様子を見せた。
「もちろん、まじめにやってる人もいますよ。ただ、開業医と違って常勤の場合はサラリーマンと一緒で、会社から給料をもらっている立場なので上司には逆らえない。『会社とグル』という報道もありましたが、そういう対等な関係というより、上司からの指示という感覚で受け止めている人も多いでしょうね」

 また、本サイトで報じた「集団ストーカー」でターゲットを追い込む手口については、実際にストーキングチームに加わり逆に精神を病んだという人物から、個人的に相談を受けた経験があるとして、「一部には存在する」と言う。
「私が相談を受けた集団ストーカーは、かなり大手の外資系会計事務所の法務部が、ある宗教団体の行動部隊へ委託して行われたという、かなり悪質な一件でした。信じ難いことですが、一部の教団にはそういう"業務"を請け負う部隊があり、各企業の法務部とパイプを構築しているのです。裏仕事を暴力団に頼むのと構図は同じです。しかもそのときは、顧問弁護を務めていた女性弁護士も承知していたというのだからひどい話です。道ですれ違いざまに『山田一郎(仮名)、死ね』とささやいたり、ホームの対面からじっと視線を合わせたりするわけです。ノイローゼになって産業医に相談に行くと、『最近、人の視線が気になりませんか』とか、『幻聴は聞こえますか』と誘導する。で、私に相談してきたのは、その集団ストーカーをしたひとり。『上からの指示でこんなことをしたが、もうやりたくない、死にたい』とメールで泣きついてきました。やる方もこたえる。負の連鎖ですよ」
 また、別の産業医(40代開業医)も集団ストーカーについて次のように言う。
「企業の法務部と教団ラインの集団ストーカーは、最近はあまり行われなくなったとも聞いています。人を多く使うので、どうしても情報が漏れやすいですからね。やる側も罪悪感から精神を病む人もいますし」
 引き受ける教団も教団なら、そんなところへ"業務"として下ろす企業も企業。ここまでブラックな手法が一部の大手企業で常態化していた事実に驚くしかない。…
今回の取材に応えてくれた医師らは皆、「産業医は誇りを持ちながらまじめに取り組んでいる人も多い」としながらも、「オリンパス事件」のような事例は「よくあること」と口を揃えた。また、過去に産業医経験があるという40代の開業医は、「誤解を恐れずに言えば、常勤の派遣産業医にはいい加減なのが多いですよ」と証言する。
「言葉は悪いけど、それだけで食ってる連中だし、短期間で勤務先が代わって会社へのロイヤリティーもないから、派遣先の上司のおかしな指示にも簡単に従う。そもそも医師というのは、手術や臨床経験、学会への論文などで実力をつけていくものですが、派遣登録の産業医は会社の中にいるだけだから、医師として能力が低いのも当然です。最近はお寺でも、坊さんが派遣先から電話1本でお経をあげに来るらしいけど、それと似てますよ」
 また、最近では「安定して楽に稼げる」ことを理由に、最初から事業所に常勤する産業医を希望する若い医師や医大生も多いといい、「仕事に誇りを持たない医師は簡単に会社の犬になる」とその医師は言い切る。

■産業医を使わないと「不良社員」も解雇できない !?
 さらに、その医師は驚くべき以下の事実を教えてくれた。
「これもおかしな話なんだけど、産業医って、法令には『医師のうちから産業医を選任』としか書かれていないんですよ。つまり、内科や精神科でなくても、眼科医でも小児科医でも可なんです。実際にそういう会社を知ってますしね」
 前述の通り、産業医を選任だけして適切な業務を行わせなかった事業所は、50万円以下の罰金が科せられると条文には記されている。仮に100人規模の企業で、経験の浅い「目医者さん」をひとり置いている場合、それが産業医としての「適切な業務」と言えるかどうか、一般的な感覚からすれば大いに疑問が残るところだ。
 さて、その一方で、産業医を利用したブラックな解雇が横行している現状について、「日本の労働者が『整理解雇の四要件』で手厚く守られ過ぎているため、企業に対して不利益をもたらす社員をクビにするには産業医を使わないと不可能という現実もある」と指摘するのは、労働法に詳しい都内の30代弁護士だ。
「今の労働者優位の体制を作ったのは労組、つまり連合なんですが、相当な条件をクリアしないと正社員を解雇できない国は先進国で日本だけです。役人が『親方日の丸』で働かないと言われていますが、実は民間も含めた日本全体がそうなっているんです。…
これは、経済の活性化という面では極めてマイナス。制度上は社員の解雇を可能にして、並行してセーフティネットも整える。そういう社会に変えていくべきだと思いますけどね」
 そもそも、産業医とは過労死が社会問題になった時代に、労働環境の改善のために導入された制度。従って当時は、「どこの会社も面倒くさがって、産業医なんて置きたくないと嫌がっていたんです。ところが、想定外の使い道があることを各企業が学習してしまい、今では産業医を置く目的や意図が、当初と全く変わってしまったんです」(前出の弁護士)
 産業医の問題を考えるには、国内の雇用実態を勘案した上での、幅広い議論が必要のようだ。いずれにせよ、もし自分が「企業→産業医」ラインで"抹殺"される危険を感じた場合、個人はどのように対抗すべきなのか? これについては、「ひとりで抱え込まずに、とにかく仲間に相談しまくる」(先の弁護士)のが、何より効果的だと多くの関係者は言う。
「情報が拡散することを会社は恐れるし、いろんな人に相談していれば知恵を出してくれる人、仲間になってくれる人が現れます」(同)
 また、前出の40代医師は「かかりつけの医師への相談が一番」と言う。
「昔は近所にかかりつけの診療所があるのが普通だったんですけどね。自分のことを知ってくれている医師を普段から作っておくのが理想的です。かかりつけでなくても、別の医者に行くのは必要。ただ、最近は、産業医が『一応ここでも診てもらってください』と表向きセカンドオピニオンを勧めながら、実はそこもグルで罠にハメようとしてくる場合がけっこう多いので注意
が必要です」
 右を見ても左を見ても、何を信じていいか分からない今のご時世。相談仲間をひとりでも多く作っておくというシンプルな戦略が、事前にできる最も簡単で効果的な戦略といえそうだ。
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